日立製作所(以下、日立)は、全国の10~70代の男女1,500人を対象に「生体認証に関する意識調査」を実施し、結果を公表した。
なお同調査は、日立の生体認証事業の推進の一環として実施したもので、生体認証に限らずパスワードやQRコードなどさまざまな本人確認手法に対する生活者の意識や、パーソナルなデータを活用する生体認証に対する期待や不安などを定量的に把握することを目的としているとのことだ。
1.4人に1人以上がセキュリティ対策として生体認証を利用
普段行っているセキュリティ対策として25.5%の人が生体認証を利用しており、10代は48.8%、20代は34.9%で、若い層の利用が特に多いことがわかったという。
また、生体認証の利用者のうち73%が「スマートフォンロック」をきっかけに利用し始めており、非利用者が今後利用したいシーンにおいても「スマートフォンロック」が最も多い結果となったという。
さらに、生体認証の利用有無にかかわらず、今後利用したいシーンとして「ネット上でのカード利用・その他決済時」が上位に。このことから、スマートフォンの普及やネットショッピングなどにおけるオンライン決済の需要拡大が、生体認証の利用の浸透に大きく影響していることが伺えたとのことだ。
2.本人確認時に困ったことがある人は約6割
普段WEBサイトや実店舗において、本人確認を求められた際に57.3%の人が困った経験があると回答した。また、困りごと1位は、「ログイン情報を忘れる」、2位は「ログイン情報を何度も誤り、ロックがかかる」となり、ログイン情報を正しく覚えられない人が多いことがわかったとしている。
3.本人確認における困りごとを生体認証の利用で解消したい人は約7割
本人確認において困った経験を生体認証で解消できる場合、利用したいかを質問したところ、「そう思う」の割合は65.3%となったことから、改めて生活者の中で生体認証の利用への期待が高まっていることが伺えるとした。
4.7割以上が生体認証の利用に不安を感じたことがない一方、そのうちの約半数が生体認証のリスクを理解していない?
生体認証を利用する上で安全性への不安を感じたことがある人は「生体情報を悪用される不安」「プライバシー問題に発展する不安」「生体情報の誤認証により本人が認証されない不安」などを挙げる一方で、不安を感じたことがない人の割合は73.3%となった。
また、そのうち2人に1人が生体認証のリスクについて、「理解していたものはない」と回答。
生体認証は、本人確認の煩わしさを解消し、パスワードなどよりもセキュリティ強度が高いという大きな利点がある一方で、生体情報は取り替えられない個人情報であるため、万が一データが漏えいした場合、重大なリスクに発展する恐れがある。
そのため、生体認証の利用に不安を感じていない人の半数はそうしたリスクを正しく理解していないことが明らかとなったとのことだ。
5.生体認証を利用する上で求めることとして8割以上が「安全性」を重視
生体認証を利用する上で求めることは、82.7%が「安全性」と回答。さらに最も求めることを質問したところ、「安全性」「認証精度」「認証スピード」「設定・利用のしやすさ」などの中で、1位は「安全性」、2位は「認証精度」となり、いかに生体認証を安全に利用できるかという点が求められていることがわかった。
調査の結果、生体認証の利用に不安を感じていない人の約半数は生体認証のリスクを理解していないことや、生体認証を利用する上で最も求められることは安全性であることなどが明らかになったとしている。
今後デジタル化が一層進む社会では生体認証の活用に期待が高まる一方で、さらなる利用普及に向けては「生体情報の安全な管理」という生体認証の課題を解消することが重要だとしている。
日立は、今回の調査から得られた結果を生体認証に関する技術開発やサービス提供などに生かしていくとのことだ。
■調査概要
調査方法:WEB回答
調査地域:全国
調査期間:2021年12月24日(金)~2021年12月27日(月)
調査対象:10代~70代男女:計1,500人
<参考>
日立製作所『生体認証に関する意識調査』