パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」は、20~59歳のビジネスパーソン15,000人を対象に、職種別に残業時間を調査し、結果を公表した。
コロナ禍での継続的なリモートワークなどにより、前回から大きな変化は見られず
2021年4月~6月の3カ月の平均残業時間は、全職種の平均が20.8時間/月で、前回の20.6時間とほぼ変わらない結果になったという。
残業時間が少ない職種TOP20の平均残業時間は、国内初の緊急事態宣言が出される前(2020年1月~3月)で20.7時間、コロナ禍で初の緊急事態宣言の期間を含む前回調査(2020年4月~6月)の14.7時間に比べ、今回はさらに減少し、13.5時間。
「教育/スクール」は残業時間が最も減少し、残業時間が多い職種55位に
TOP20には、11職種中10職種の事務/アシスタント系職種がランクインし、半数を占める結果になった。
この傾向はコロナ以前の2020年1月~3月、前回調査の2020年4月~6月でも同様に見られ、事務/アシスタント系の残業時間は全体的に安定して少ないことが分かるとしている。
前回から最も平均残業時間が減ったのは「教育/スクール」で-19.2時間、今回90職種中55位となった。
教育現場ではITCの導入が進んでおり、これまで手作業で行っていた宿題やテストの作成、配布、回収、採点など一部業務のオンライン化で、業務の効率化が図られていることが要因と同社は推測している。
また、フィットネスジムでは、営業時間の短縮を余儀なくされた一方で、「コロナ禍で運動不足を解消したい」「増える在宅時間を充実させたい」というニーズを追い風に、非対面でのライブやビデオレッスンの配信を導入。
レッスン前後の準備や掃除などの後片付け、受講者対応の時間などが減り、残業時間に影響を与えたものと想定されるとのことだ。
「教育/スクール」に次いで減ったのは、新型コロナの影響を最も受けた職種の1つ「調理/ホールスタッフ/フロアスタッフ」で、-9.4時間。
営業時間の短縮に加え、支払いのキャッシュレス化や食洗器の導入などにより一部業務が自動化されたこと、フードデリバリーのニーズ増加による接客の省人化が進んだことから、残業時間のさらなる減少につながったとしている。
労働時間が長い傾向にある建設業の中で、「施工管理」のみ残業時間が減少
TOP20には、インフラ整備や災害対策の需要が高まる「建築/土木系エンジニア」、ロボットやAI、自動化などの需要がさらに伸びている「モノづくり系エンジニア」が最多4職種ランクイン。
建築業界は、以前から慢性画的な労働力不足に陥っており、長時間労働者の割合が高い傾向にあるという。
耐震対策や建物の老朽化にともなうインフラ整備などのニーズが高まり続けているにも関わらず、手書き伝票などのアナログ業務がいまだに多く残っているため、残業時間が増えていると想定されるとしている。
一方「施工管理」は、TOP20内で残業時間が減った唯一の建築系の職種。
工事現場の施工や予算、安全面など、工事に関わるすべての管理を担う「施工管理」は、昨年からクラウド型の施工管理システムの導入が急速に広がり、仕事のデジタル化が進みつつあり、図面管理や業務連絡の一斉送信などがタブレット上で可能となり、事務所への移動時間や事務作業が削減。
さらにタブレット端末などを通じた現場監督が可能となったこともあり、今回、残業時間が-5.1時間減ったとのことだ。
前回から最も平均残業時間が増えたのは、「電機メーカーの営業」となった。
この職種は、昨年、残業時間が少ない職種の20位。残業時間が大幅に増加した背景には、世界的な「半導体不足」があると考えられるとしている。
新型コロナの影響により、工場の停止や物流の停滞などで半導体の入手が困難になり、加えて、リモートワークの急激な普及や巣ごもり需要により、PCやテレビなど半導体関連商品の需要が急拡大し、供給体制のひっ迫が生じ、「電機メーカーの営業」はこれらのトラブル、高まり続けるニーズへのイレギュラー対応が発生し、残業時間が増加したと同社は推測している。
【調査概要】
調査対象:20歳~59歳の男女
雇用形態:正社員
調査方法:ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のデータベースを元に実施、doda会員登録の状況については不問)
実施期間:2021年8月19日~8月23日
有効回答数:15,000件
※ウェイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施
出典:転職サービスdoda「平均残業時間の少ない仕事・多い仕事は?90職種別の残業時間ランキング」