サントリー食品インターナショナルは、2030年のサントリーグループ目標“リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用し、化石由来原料の新規使用をゼロにする”という「ペットボトルの100%サステナブル化」実現へ向け、今年、国内では2本に1本が「100%サステナブルボトル」になることを目指すという。

そして新たに、ペットボトルは資源として何度も循環できることを伝える新ロゴマーク『ボトルは資源!サステナブルボトルへ』を国内ペットボトル全商品へ3月以降順次展開し、啓発活動など消費者とのコミュニケーションを強化。

さらに、日本で培ったペットボトルのサステナブル化技術を、海外現地グループ会社と協働して展開することで、サントリーの「ペットボトルの100%サステナブル化」を一段とグローバルで加速させるという。

■サントリーグループの目標

サントリーグループは、2012年に国内清涼飲料業界で初めてリサイクル素材100%のペットボトルを導入したことを皮切りに、従来よりもCO2排出量を低減する世界初の「FtoPダイレクトリサイクル技術」を開発するなど、長年にわたって技術革新を進め、積極的に「ボトルtoボトル」水平リサイクルを実用化・推進してきた。

2019年に策定した「プラスチック基本方針」では、“2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルに、リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用することで、化石由来原料の新規使用をゼロにする”という「ペットボトルの100%サステナブル化」の目標を掲げているとのことだ。

■日本国内における取り組み

〈2021年 100%サステナブルボトルの使用実績〉
2021年の国内清涼飲料事業における同社全ペットボトル重量のうち37%で100%サステナブルボトルを使用。

「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」650ml・600mlでは全数量、サントリー緑茶「伊右衛門」ブランドや「クラフトボス」シリーズの6割以上が100%サステナブルボトルになったという。また、料飲店向けリターナブル瓶製品を100%サステナブルボトルに切り替え。

〈技術開発実績〉
ペットボトルのサステナブル化にかかる技術としては、分別時に剥がしやすく、糊残りが少ないラベル用の「新規糊」をトーヨーケムと共同開発。

「分別時に簡単・きれいにラベルを剥がせるようにしてほしい」というユーザーの声を実現し、かつ、使用済みペットボトルを洗浄する際の品質向上が期待され「ボトルtoボトル」水平リサイクルに寄与するもの。

昨年12月には、米アネロテック社と共同開発を続けていた植物由来原料100%ペットボトルの開発に成功、フードチェーンに影響を与えないバイオペットボトルの実用化へ向けて前進したという。

なお、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む共同出資会社アールプラスジャパンは、1月時点で参画企業が32社まで拡大しているとのことだ。

〈ステークホルダーとの連携実績〉

「ボトルtoボトル」水平リサイクルの推進に向けて、同社工場周辺を中心とした自治体や早稲田大学などと連携し、ペットボトルの回収や分別啓発を実施。

早稲田大学とは、2020年より学内で排出される使用済みペットボトルの分別回収を実施しており、昨年は「資源循環型社会の実現に関する協定書」を締結し、啓発活動や共同研究を実施している。

早稲田大学や附属高校だけでなく、私立青稜中学校や東京都港区立の小学校とも協力し、啓発プログラムを開発・実施。

〈2022年 100%サステナブルボトルの使用計画〉

今年の国内清涼飲料事業における同社全ペットボトル重量のうち50%以上でサステナブル素材を使用し、同社のペットボトルの2本に1本を100%サステナブルボトルとする計画であるという。

今年はラベルレス商品において、全数量を100%サステナブルボトルにした商品も発売するという。今後も引き続き、多様なペットボトル商品を100%サステナブルボトルにしていくとのことだ。

〈新たな取り組み計画〉

今年3月以降、同社ペットボトル全商品のラベルに『ボトルは資源!サステナブルボトルへ』という新たなロゴマークを順次展開するという。

このロゴマークは、ペットボトルはゴミではなく、適切な分別・回収により何度も循環できる「資源」であるということをより多くの人へ伝えるとともに、ペットボトルの100%サステナブル化を通して、循環型で持続可能な社会の実現に貢献していくという同社の決意が込められている。

また、ロゴマークの他にも、ユーザーに向けた情報発信を強化していくとのことだ。

■海外グループ会社における取り組み

▽欧州(SBFE)でのこれまでの取り組みと計画

イギリス、フランス、スペインを中心としたSuntory Beverage and Food Europe(以下、SBFE)においても、2030年ペットボトルの100%サステナブル化に向けて、活動を進めている。

イギリスですでに100%サステナブルボトルを導入している「Ribena」につづき、2021年にはフランスで「MAY TEA」および「Pulco」に100%サステナブルボトルを導入。

2022年には、イギリスおよびアイルランドで「Lucozade Sport」に100%サステナブルボトルを導入し、ラベル面積も半減するとのことだ。

「ボトルtoボトル」水平リサイクル促進のほかにも、2021年には、「Ribena」においてボトル全体を覆うシュリンクラベルから、巻き付けて糊で接着するロールラベルへ変更しているという。

プラスチック製のラベル面積を減らすことができ、リサイクルしやすくなるロールラベルへの移行は、日本において積極的に進めてきた環境負荷低減策のひとつで、日本の技術支援チームとの連携により実現したものであるとのことだ。

また、SBFEはフランスの再生プラスチックベンチャー企業であるカルビオス社とのコンソーシアムに参画している。

このコンソーシアムにおいて、昨年6月、世界で初めて酵素技術でケミカルリサイクルした食品容器として使用できる品質のペットボトル開発に成功し、SBFEの「オランジーナ」で試作品を作成。試作品ボトルの作りやすさや安全面の検証など、カルビオス社では実施できない分野の支援を日本の技術チームが行ったとのことだ。

カルビオス社は、2021年9月に最初のデモプラントを開設し、2025年の商業化プラント稼働を目指している。

この技術は、ポリエチレンテレフタラート(以下、PET)のみに働く特別な酵素によって元の材料にまで分解し、再び使用可能なペットボトル原料にする画期的な技術であるという。

分別が不十分であったり、欧州に多い色付きのペットボトルもヴァージンPETレベルまで再生できることが期待され、SBFEの100%サステナブル化に向けた重要なマイルストーンとなる。

▽アジア(SBFAPAC)でのこれまでの取り組みと計画

ベトナム、タイ、インドネシアを中心としたSuntory Beverage and Food Asia Pacific(以下SBFAPAC)においては、再生プラスチックを食品に使用することが禁じられている国や使用済みプラスチック回収のためのインフラの整備が必要であったりと、100%サステナブル化に向けた障壁が多く残っている。

そこで、まずは日本で長年にわたり培ったリデュース(使う量を減らす)に関わる技術展開を積極的に行ってきたという。2015年時点では20gを超える重さのペットボトルを各国で使用していたが、2020年には耐熱ペットボトルとして世界最軽量の15gペットボトルをSBFA共通規格として、まずはタイで導入。

そして今年はベトナムでの導入を予定しており、インドネシアにおいても今後導入を検討していくとのことだ。

リデュースの次のステージとしてリサイクルにおいても活動を強化しており、ベトナムでは今年中に同社アジア地域として初の100%サステナブルボトルを導入予定。

また、2021年7月には、海岸クリーンアップ活動に参加するため、海洋自然保護団体「Ocean Conservancy」とパートナーシップを締結するなど、エリアに根差した活動を行っているという。

さらに、サントリーグループが2018年に世界で初めて開発した「FtoPダイレクトリサイクル技術」の海外展開も検討を進めているとのことだ。

日本とは異なる状態の使用済みペットボトルでも、食品容器に使用できる品質のペットボトルに再生できるよう「FtoPダイレクトリサイクル技術」を応用し、2024年の稼働を目途に開発を行っていくとしている。

同社は、持続可能な社会の実現のため、今年もペットボトルのサステナブル化のリーディングカンパニーとして業界を牽引し、取り組みを強化していくとのことだ。