2022年4月から公的医療保険適用の見通しとなった不妊治療。第15回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所(2015年)のデータでは、不妊の検査や治療を受けたことのあるカップルは約5.5組に1組と、けっして少なくはない数字が示されるなど、不妊に悩む方は多く、この動きは経済的な負担軽減につながることが期待されている。

生活習慣の見直しや私たちの身体について学ぶこと、そして不妊治療をはじめとする妊娠・出産の現状を知ることは、将来子どもを望むか望まないかにかかわらず重要であり、妊活を行うのであればなおさらだ。そのため、早いうちから正しい知識を身に付け、ライフプランを設計することで、選択肢を広げるための準備が必要になる。

今回、これから社会に出ていくハタチ世代の中でもすでに社会で活躍し、昨年2021年に1児の父となった俳優の梶田冬磨さんに、妊活を含めたライフプランニングについてインタビューを行った。妊活の現状を掘り下げながら、自分らしい人生を送るために必要なマインドセットを伺う。

約4人に1人が悩む? 妊活の現状について

——まず「妊活」と聞いてどんなイメージを持ちますか? また妊活は女性だけでなく、男性のものでもあるという認識はありましたか?

梶田 「妊活」は子どもを授かるための準備・過程という認識で、その中で必要となる自分の知らない情報の勉強も含まれるものだと思っています。妊娠・出産は男性と女性がいてはじめて成り立つものなので、女性だけに当てはめて考えるものではないと思います。昨年、子どもが生まれたのですが、その経験を通しても、妊活は始めから男性も積極的に関わる必要があると思っています。

梶田冬磨さん

——メルクバイオファーマ株式会社が実施した2021年の「第5回 妊活®および不妊治療に関する意識と実態調査」では、「20代では72.5%が将来子どもを授かりたいと望んでいるが、約14%が不妊で悩んでおり、30代になるとその割合が28.0%と20~40代の中で最も高い」という結果が示されていますが、この結果にはどんな印象を受けますか。

梶田 具体的な数字は知りませんでしたが、子どもを授かりたいと思っていても、その理想と現実に乖離がある状態なんですね。同世代からはあまり聞かないのですが、自分は子どもを授かったことによって新たなつながりもできたので、その中で不妊治療で悩まれている方の話を耳にすることも多くなりました。そういった背景もあってか、今の時代、不妊治療は珍しいものではなくなっている印象があり、不妊に悩んでいる人に対してネガティブな印象を持つ世の中ではないように思います。

——また、同調査では不妊治療の継続に平均で約95万円かかるといわれています。

梶田 95万円! そんなにかかるとは知らなかったので、かなりビックリしました! スムーズに子どもを授かることができればお金がかかることもないので、まずお金がかかっていること自体、当事者の方々にとってはつらい現実だと思います。しかも不妊治療を行ったとしても、必ず子どもを授かれるという確約がないものだと考えると……苦しい状況ですよね。

——不妊に悩む、そしてお金がかかってしまう現実は、多くの方のライフプランを変えてしまう可能性があり、当事者になるまで考えない方がほとんどです。将来、自分らしい生き方を選択するためにはどんなことが必要だと思いますか?

梶田 妊活を含めたライフプランニングについては、しっかりとした教育を行うことが必要なのかもしれません。子どもの頃に学ぶ場があったとしても、そのときは先の話だし興味を持ちにくいかもしれません。ただ、いざ親の立場になると「学んでおけばよかった」「準備しておけばよかった」と思う場面は多々あります。ですから、学ぶことは必須で、そのタイミングを考えていかなければいけませんよね。

自分の将来を考えられる高校や大学というタイミングで学ぶことができれば、自分ごと化してインプットできる情報や知識も多くなるのではないでしょうか。

環境を整え、周囲の協力を得ることが大切

——実態調査によると、不妊治療の経験者の約3人に1人が仕事と不妊治療の両立を負担に感じているようです。仕事と子育ての両立も同じように不安に思っている方が多いと思うのですが、梶田さんはどのように仕事と子育てに向き合っていますか?

梶田 うちは共働きですが、休みが決まっている仕事ではないので、むしろスケジュールは調整しやすい環境にいるのかもしれません。お互いの仕事が重なってしまう場合は、奥さんの実家に預かってもらっています。「いつでも預けていいよ!」と協力的でいてくれるのですごく助かっています。共働きで子育てをするには、やはり“環境を整えること”が重要ですよね。働く女性も増えていますし、保育園や子どもを預けられる場所が増えていけば、もっと妊活が前向きなものになっていくと思います。

奥さんとはスマホでカレンダーを共有し、お互いの予定を見られるようにしているので、スケジュールが原因でけんかになるようなことはありません。二人とも子どもと過ごす時間が大好きなので、できるだけ家にいる時間を増やせるように努力しています。今は子どもが生まれたばかりなので自由にできる部分も多いですが、「幼稚園に入ったら仕事はどうする?」と、今ちょうど先のことを話し合っています。住んでいる地域によって支援制度も違うでしょうし、必ずしも制度が充実した場所に住めるとも限らない。少子高齢化といわれている中で、“待機児童”なんて言葉があるのは悲しいですよね……。もっと子育て世代に協力的な制度や社会になっていけるといいなと思います。

——国や自治体の制度以外にも、不妊治療や子育てをうまく行っていくためにはどんなことが必要だと思いますか?

梶田 友人や地域の人たち、それに会社の同僚や上司からの理解や協力が必要になってくると思います。うちの場合、子どもが生まれたことでパパ・ママの知り合いも増えましたし、「何かあったら言ってね」と協力してくれる人がいます。ただ、よほど仲の良い人ではない限り、積極的に協力を得るのは難しいのかもしれません。僕も奥さんも職業柄、急に仕事に穴を開けるとなるとかなり多くの人たちに迷惑がかかってしまいます。そういう状況は避けたいのですが、いつか直面するかもしれない。そのときのためにどうするかは考えておく必要がありそうです。僕たちは職業がちょっと特殊ですが、それでも自身が働く場が子育てに対して協力的であるということは安心を得られますし、不測の事態に対しての対応力も上がりますよね。

梶田流“自分らしさ”は、計画性と気楽さのバランス

——ここまでお話を伺っていると、やはり先を見据えたライフプランニングの必要性を感じるのですが、これまでの人生でご自身は計画的に行動してきた方ですか? そして今後、仕事やプライベートで描いているライフプランがあればお聞かせください。

梶田 もちろん計画は立ててきましたが、わりと気楽に構えてきた方かもしれません。基本的に重く考えないようにするタイプです。計画に固執してしまうと余裕がなくなってしまいますし、決めすぎてしまうと自分への負担になることもある。計画はあくまで計画で変わることもあるので、気を抜くところは気を抜く。そのバランスが大切だと思います。何事も「できたらいいな」ぐらいの心持ちでいますね。

親が芸能の仕事をしてほしかったようで、中学の時にいろいろとオーディションを受け、今の事務所に合格しました。目立ちたがり屋な性格もあり芸能界への憧れはあったのですが、お芝居の勉強をしているうちに楽しくなってきて、高校卒業のタイミングで本気で芸能の道を目指そうと思いました。

将来は、役者はもちろん、情報番組のレポーターやMC、バラエティーの仕事にも興味があります。途中で変わってしまうこともありますが、自身の環境の変化に合わせて対応していける柔軟性を持つということが重要だと思うので、何歳までに何をしたい、という大きな計画は立ててはいます。「早く家族を持ちたい」というのも僕のライフプランの一つでした。二人目をどうするか、という話も仕事や子どもの成長など、自分たちの変化をしっかり捉える中で具体的になっていきそうです。

実は一人目を授かった時から「二人目三人目はどうしようか?」と話はしていて。年齢が近い方がいいのかなとも思うのですが、子育てはもちろん大変なこともあるので、一人目が落ち着いてもっと充実した環境になってからでもいいのかなとも考えています。これも、自分たちのライフプランをしっかり考えられているかどうかによりますし、今日知った情報によって今後のプランも変化させることができますよね。これまでは知らなかったけれど、正しい知識を得ることで、準備の重要性を改めて感じました。

必ず助けてくれる人がいる。頼ることは悪いことじゃない

——梶田さんと同世代の方々は、これから社会に出る人も多いかと思います。すでに社会で活躍している先輩として、みなさんに伝えたいことはありますか?

梶田 学生、そして未成年は周囲から守られている状態ですし、その状況ではなかなか自分が守られているという意識は持ちにくいと思うのですが、いざ社会に出ると、自身の責任というものをすごく感じるようになります。ただ、その責任に縛られ過ぎると辛くなってしまいますよね。

僕は家族を持ってからさらに責任を強く感じるようになりましたが、家族や友人、マネージャーさんなど、周囲のみんなが助けてくれて今の自分がいます。責任を持つことは必要ですが、助けてもらうことは悪いことではありません。僕も悩むことはたくさんありますが、そういうときはすぐに相談するようにしています。そうすると、必ず助けてくれる人がいるんです。ですので、できない自分を情けないと感じるのではなく、周囲を頼りながら“独りになりすぎず”過ごしてほしいです。そのためには、自分からも周囲を助けられる人間でありたいですよね。

そして、僕も今回のインタビューを通して、妊活を含めたライフプランについて改めてしっかりと考えていきたいなと思いました。そして悩んだら周囲に相談です! 目の前のことで手一杯になりがちですが、“自分の未来のことを考えること”は“今を大切に生きること”にもつながるはずなので、一人ではなくみんなで考えていければいいなと思います。


写真・西村 克也

■YELLOW SPHERE PROJECT/YSP
妊娠を希望してもなかなか叶わないという“社会課題”に対し、製品やサービス提供にとどまらず、妊活や不妊治療をする人々を支援し応援するプロジェクトです。目指すところは、より多くの人に適切な情報を伝えて、サポートの輪を広げ、人々の充実した暮らしという未来をつくることへの貢献です。新しい命を宿す為の努力を、皆が応援する社会へ。それが、YELLOW SPHERE PROJECTの先にある未来です。
https://www.merckgroup.com/jp-ja/yellow-sphere-project.html

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メルクについて
Merck(メルク)はヘルスケア、ライフサイエンス、パフォーマンスマテリアルズの分野における世界有数のサイエンスとテクノロジーの企業です。約57,000人の従業員が、人々の暮らしをより良くすることを目標に、より楽しく持続可能な生活の方法を生み出すことに力を注いでいます。ゲノム編集技術を進展させることから治療が困難を極める疾患に独自の治療法を発見すること、また各種デバイスのスマート化まで、メルクはあらゆる分野に取り組んでいます。2019年には66カ国で162億ユーロの売上高を計上しました。

メルクのテクノロジーと科学の進歩において鍵となるのは、サイエンスへのあくなき探求心と企業家精神です。それはメルクが1668年の創業以来、成長を続けてきた理由でもあります。創業家が今でも、上場企業であるメルクの株式の過半数を所有しています。メルクの名称およびブランドのグローバルな権利は、メルクが保有しています。唯一の例外は米国とカナダで、両国では、ヘルスケア事業ではEMDセローノ、ライフサイエンス事業ではミリポアシグマ、パフォーマンスマテリアルズ事業ではEMDパフォーマンスマテリアルズとして事業を行っています。

メルクバイオファーマ株式会社について
メルクバイオファーマ株式会社は「メルク ヘルスケア・ビジネス」(本社:ドイツ・ダルムシュタット)における、バイオ医薬品事業部門の日本法人です。2007年10月1日にメルクセローノ株式会社として発足し、がん、腫瘍免疫および不妊治療領域を重点領域としています。
メルクバイオファーマ株式会社の会社概要については下記をご覧ください。
https://www.merckgroup.com/jp-ja/company/merckbiopharma.html