中国・杭州を拠点とするアリババグループが保有するグローバルな研究グループであるアリババDAMOアカデミー(DAMO)は、今後数年間のテクノロジー業界を牽引するトレンドのトップ10を予測し、発表した。

この予測は、過去3年間に発表された数百万の公開論文や特許出願を分析し、100人近くの科学者へのインタビューより導き出されたものとなっている。

同アカデミーの責任者であるジェフ・チャン氏は以下の通り述べている。

「デジタルテクノロジーの進化は、過去1世紀に渡り技術の進歩と産業の発展を加速させた。テクノロジーの境界は物理的な世界から複合現実へと拡大し、最先端のテクノロジーが産業用アプリケーションの発展をもたらしている。」

「デジタルテクノロジーは、グリーンデータセンターやエネルギー効率の高い製造業などといった業界規模で適用される場合でも、ペーパーレスオフィスなどの日常業務に適用される場合でも、グリーンで持続可能な未来を推進する上で重要な役割を果たす。我々が目指すのは、より良い未来の創造をテクノロジーによって実現することだ。」

同トレンド予測のトップ10項目は、以下のラインナップとなる。

1.クラウド・ネットワークとデバイスのコンバージェンス(収束)
2.AI for サイエンス
3.シリコンフォトニクスチップ
4.再生可能エネルギーのためのAI
5.高精度医療
6.プライバシー保護計算
7.拡張現実(XR)
8.知覚的ソフトロボティクス
9.衛星・地上統合コンピューティング
10.大規模および小規模AIモデルの共進

全体像としては、クラウド・ネットワークの普及によりクラウドコンピューティングが進化し、新しいコンピューティングシステム上で実行されるアプリケーションの急増が見込まれるという。

また、応用化学の分野に広くAIが利用されるとし、大規模なデータセンターでは高速のデータ転送を可能にするシリコンフォトニクスチップが導入され、再生可能エネルギーの分野にAIが導入されることで安全や信頼・効率が高まるとのことだ。

精密医療は、病気の予防・診断・治療といった複数の医療分野にまたがる主要なトレンドとなるという。プライバシー保護計算パフォーマンスと解釈可能性の向上、おしゃれなXR(拡張現実)メガネも次世代インターネットへの重要な入口となる。

知覚ソフトロボティクスは、製造業界の従来のロボットに取って代わり、日常生活におけるサービスロボットの幅広い採用への道を開く。

また衛星と地上システムは、コンピューティングノードとして機能し、ユビキタス接続を可能にするネットワークシステムが構築される。

AIの基盤は、クラウドやエッジ、デバイスを介した大規模および小規模モデルが共存、進化するモデルに移行しており、さらに便利なサービスを提供するとのこと。