ストッキングメーカー「アツギ」、生産体制の再編へ アツギ東北の生産業務の終了を決定

ストッキング・タイツ・インナーウェアの繊維製品の製造・販売メーカーであるアツギは、近時の事業環境の変化に機動的に対応し、強固な収益基盤を構築するため、生産体制の再編を行うこととし、これに伴い、同社の国内生産子会社であるアツギ東北の生産業務の終了を決定したと発表した。

同社グループは、強固な事業基盤と持続的な利益創出を確実なものとするために、2019年に公表した3つの構造改革(事業構造改革、業務構造改革、コスト構造改革)の取り組みを進めている。

国内の生産拠点であるアツギ東北では、衛星工場の集約やそれに伴う工程移管、希望退職募集等の合理化による固定費削減を推進するとともに、高機能インナーウエアの生産設備導入、生産アイテムの見直しによる単価アップ、ロス削減等による収支改善の取り組みを推進してきた。

しかしながら、2020年度より顕在化した新型コロナウイルス感染症の拡大により、インバウンド需要が消滅したことや、在宅勤務の拡大や外出自粛などに伴う「新しい生活様式」が社会に広く浸透し、これらが同社の主力商品であるストッキングの急速な需要減少を招くなど、同社グループを取り巻く事業環境は想定以上の速さで変化するとともに厳しさを増しており、2019年3月期以降同社の業績は最終赤字が継続している。

このような厳しい業績推移を踏まえ、赤字脱却・黒字転換に向けては、売上高の回復のための営業力強化とともに、生産数量の変化にも柔軟に対応しつつ、効率的かつコスト競争力のある生産体制を構築することが急務となっているとのことだ。

これらの課題に対処するため、多面的に検討を重ねてきたが、収益構造を抜本的に見直すためのもう一段踏み込んだ施策が不可欠との結論に至り、需要減少に伴う稼働率の低下やコスト割高等により採算悪化が続いているアツギ東北については、2022年5月末をもって生産業務を終了することを決定。

これにより、グループの生産機能をコスト競争力のある中国工場に集約して生産体制の最適化を図り、更なる製造原価低減を実現し、黒字化達成を目指していくとしている。

生産体制の再編の概要

(1)アツギ東北の生産業務終了

アツギ東北の生産業務は2022年5月末をもって終了し、同社グループの中国生産子会社である煙台厚木華潤靴下有限公司(以下、煙台厚木)および厚木靴下(煙台)有限公司(以下、厚木靴下)の2つの工場に生産業務を移管し、生産体制の効率化および最適化を図るとのことだ。

(2)再編後の生産体制

アツギ東北の生産業務終了後は、同社グループの自社生産工場は、煙台厚木と厚木靴下の中国2工場による体制となる。

また、あわせて、2020年10月に完全子会社となったレナウンインクスの国内工場であるいわき事業所(福島県いわき市)の活用方法等についても、同社とのシナジー創出を踏まえて検討していく予定であるとのことだ。

なお、中国工場に関しては、2021年12月24日付で公表したとおり、煙台厚木の工場移転を目的として、新会社「煙台阿姿誼靴下有限公司」を設立。

今後、新会社が煙台厚木を吸収合併したうえで新工場を建設し、2025年3月期以降に新工場による操業を開始する予定であり、これらを含む再編後のグループの生産体制については、2022年5月を目途に公表を予定している2023年3月期から2025年3月期までを実行期間とする次期中期経営計画においてお知らせする予定とのことだ。

(3)アツギ東北の従業員の取り扱い

詳細については、今後の労働組合との協議を経て決定する予定であるという。

日程
(1)取締役会決議日2022年1月20日
(2)アツギ東北の生産終了日2022年5月31日(予定)

今後の見通し

今回の生産体制の再編によるアツギ東北の生産業務終了に伴い、退職者への特別退職金の支払い等により特別損失が発生する見込みであるが、金額については現在精査中であり、当期の業績への影響に関して、開示すべき事項が生じた場合には速やかに公表する予定であるとしている。

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