マンションナビを運営するマンションリサーチは、2019年~2021年にかけての「中古マンション価格推移」「売出戸数増減率」「販売期間」の3つのデータを東京23区と大阪市で比較し、東京都23区の中古流通マーケットの実態を検証し、結果を公表した。

【東京都23区・大阪市】2019年~2021年中古マンション価格推移

東京23区月次平均坪単価

坪単価は、1度目の緊急事態宣言が出た2020年4月に一時的に下がったものの、2020年後半から高騰基調に。2021年からはさらに加速しているという。

2021年12月の坪単価「328.2万円」は、バブル以降最高値とのことだ。

東京23区月次平均坪単価

大阪市月次平均坪単価

大阪市もコロナ禍で一時的に価格が下がったものの、2020年後半から高騰基調に転じ、2021年に加速している点は東京23区と同様となっている。

大阪市月次平均坪単価

■前年比増減率を23区と大阪市で比較

東京都23区、大阪市、いずれも中古マンションの坪単価はこの2年間で大きく増加。ただ傾向は同じでも坪単価の増減率には大きな差が見られたという。

とくに2021年は大阪市と比較して東京都23区の高騰率は著しく、1年で1割以上の高騰となり、価格上昇ペースが非常に早まっているとのことだ。

前年度平均坪単増減率

【東京都23区・大阪市】売出戸数増減率

2019年の消費税増税、そして新型コロナウイルス感染症拡大によって、中古マンションの価格は下落することが予想されていたが、実際には2020年、2021年と継続的な高騰となった。

その背景の1つに、コロナ蔓延という異常事態により、中古マンションの売り控えが起こったことが挙げられるとしている。つまり、供給不足により市場の需給バランスが崩れたことが価格高騰に起因したものと考えられるとのことだ。

コロナ禍前の2019年と比較すると、2020年、2021年の中古マンション売出戸数増減率は以下の通り。いずれも大幅に減少しているが、2020年の東京都23区の減少率が際立っている。

2021年は、2020年と比較して東京23区では回復している一方、大阪市では悪化していることもわかる。単純に供給量だけ見れば、2021年は大阪市のほうが価格上昇圧力が強くかかるはずだが、前述の前年度平均坪単増減率の価格の上昇率をみると東京23区が大阪市の高騰率を凌駕しているとのことだ。

2019年度比売出戸数増減率

【東京都23区・大阪市】販売期間

■東京都23区・大阪市売出開始からの販売期間

下記グラフは、東京都23区(オレンジ)と大阪市(青)の各月ごとに販売が完了した中古マンションの売出開始から販売完了までの経過日数の平均値を表している。

この期間が短いほど物件がすぐに売れるということを示し、需要が高いと判断できるとしている。

大阪市は、2020年7月~11月ごろにかけて一時的に販売期間が伸びたものの、全体的には横ばいの状態が継続。一方で、東京都23区は2021年に入ってから販売期間が明らかに短縮化し、この傾向は直近の調査まで継続しているという。

このことから、東京都23区の中古マンション高騰には「供給不足」以上に「需要促進」が大きく影響していると考察できるとのことだ。

東京都23区・大阪市売出開始からの販売期間

2021年12月、東京都23区の中古マンション価格は過去最高値を更新。供給側面だけから見れば、東京23区の売出数は大阪市と比較して増加傾向にあるため、ここまで価格が高騰することは考えづらいという。

一方で、東京都23区は2021年以降、販売期間が著しく短期化。以上のことから、供給数が回復傾向にあるものの需要の膨らみがそれを凌駕し、バブルの様相を呈していることが中古マンションの価格高騰の大きな要因となっていると考えられるとのことだ。

<参考>
マンションリサーチ『【速報】2021年12月東京都23区中古マンション価格最高値更新!“異常”な高騰を続ける理由とは?