アイ・グリッド・ソリューションズと子会社のアイ・グリッド・ラボ(以下、ラボ)は、伊藤忠商事と、埼玉県内で展開するスーパーマーケットヤオコー川越的場店で、店舗の太陽光発電・蓄電池・V2Hとネットスーパー用EVをAIにより最適制御するエネルギーマネジメントシステムの実証実験を2022年1月より開始すると発表した。
ヤオコー川越的場店では、アイグリッド子会社であるVPP JapanによりPPAモデル(第三者所有モデル)で自家消費太陽光発電を導入しているという。
更に、2021年6月には実証実験の第一弾として蓄電池を導入し、「R.E.A.L. New Energy Platform®」によるエネルギーマネジメントの実証実験を実施したとのことだ。
今回は実証の第二弾として、ネットスーパー用宅配車両にEV車を導入し、AI(強化学習)による最適なエネルギーマネジメントを行うことで「エネルギー×モビリティ×AI」によるラストワンマイル物流の脱炭素化を目指すという。
「R.E.A.L. New Energy Platform®」のAIが、宅配スケジュールやEVの電池残量、及び店舗の太陽光発電量・電力消費状況・蓄電池残量等を逐次学習した上で各機器を自動制御。
宅配時以外はEVも店舗用の蓄電池として活用し、最適な充放電管理(エネルギーマネジメント)を行うとしている。
同実証実験を通じ、店舗運営・宅配業務いずれの快適性と運用性も損なわない形で、CO2排出量及びエネルギーコストの削減を実現するとのことだ。
同実証実験では、検証する内容は主に下記2点としている。
1.EVを活用したエネルギーマネジメントの有効性検証
配送時間以外は宅配用EVをV2H充放電機に常時接続し、「第二の蓄電池」として店舗で活用。
「R.E.A.L. New Energy Platform®」のAIを用いたエネルギーマネジメントにより、既設の太陽光発電と蓄電池及び宅配用EVの充放電を自動制御することで、ピークカット効果等による店舗の電気料金削減、BCP時電源としての活用、及び店舗運営と宅配業務のトータルCO2排出量削減を目指すという。
2.宅配用EVの快適性・運用性の検証
車両は、AZAPAが開発した軽自動車規格のEVバンを採用。宅配実務を担うアサヒロジスティクスの協力の下、快適性、運用性、経済性、及びCO2排出量など様々な要素を、既存のガソリン車と比較検証。
脱炭素化に向けてEV普及は重要とされているが、その経済性や充電インフラ整備等が課題となっているという。
同実証実験では、軽EVを活用したラストワンマイル物流に特化することで、商用EVの導入コスト削減や、太陽光発電設備のある配送用店舗・物流施設等での充電インフラ整備も可能になるため、普及に向けた課題を解消可能と考えているという。
また、EVは非常用電源としても活用出来るため、周辺地域に対するレジリエンス強化も可能となるとしている。
さらに、今後の分散電源の普及拡大に伴い、送配電網安定化のための調整力もより重要になることから、同実証実験を経て、将来は「R.E.A.L. New Energy Platform®」によりEVを調整力として活用することも目指していくとのことだ。