東急は、2023年3月の実施に向けて、国土交通大臣宛に鉄軌道旅客運賃の変更認可申請を行ったと発表した。

これまで安全性・安定性の確保を目的に「3つの100%」として、ホームドア・センサー付固定式ホーム柵、車内防犯カメラ、踏切障害物検知装置を完備するなど、業界水準を大きく上回る規模の設備投資を継続的に実施してきたという。

一方、設備維持に要する費用は年々増加し、加えて、新型コロナウイルス感染症拡大によるテレワークなどの新しい生活様式の定着により、とくに定期利用者が同業他社と比較しても大きく減少していることから、今後もコロナ前の需要水準には戻らないと想定され、厳しい経営状況にあるとのことだ。

今回の運賃改定は、このような経営環境下においても、安全性・安定性を支える高水準な鉄道インフラを適切に維持・更新し、将来世代に負担を先送りすることなく鉄道事業を継続するとともに、社会に必要とされる価値を今後も提供していくため、2005年の運賃改定以来17年ぶり(消費税率変更によるものを除く)に申請するものであるという。

主な申請内容は以下のとおり。

同社は2021年5月に公表した中期事業戦略「3つの変革・4つの価値」に基づき、固定費削減、生産性向上を目的とした事業構造変革をはじめとする経営努力を徹底しながら、2022年度から2025年度までの4年間、各年度450億円規模の設備投資を継続して実施するという。

安全・安心や運行安定性を維持、向上させるための設備更新を中心としつつ、鉄道に今後期待される駅、車両のさらなるセキュリティ強化、脱炭素・循環型社会の実現に向けた省エネ設備の導入や鉄道サービスのDX化のための5G通信網の整備など、将来にわたり公共交通としての使命を果たし続けるために必要な取組みを進めていくとのことだ。