富士通(以下、富士通)とRidgelinez(以下、Ridgelinez)は、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、以下、SDGs)で定められている環境課題の解決に向けて連携を強化すると発表した。

第一弾として、顧客のSDGs達成に向けた経営戦略立案から対策の実施までを両社で強力に支援するため、顧客のSX(Sustainability Transformation)実現に寄与するコンサルティングサービスを2022年1月より、サプライチェーンのCO2排出量算定・可視化サービスを12月24日より、提供を開始。

コンサルティングサービスは、ESGの課題解決をスコープとしたサステナブル経営戦略立案支援や、CO2排出量ゼロを目指すカーボンニュートラル実現化支援などにより構成されており、Ridgelinezから提供するという。

CO2排出量算定・可視化サービスは、富士通グループでのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みで得たノウハウを反映させたもので、企業が直接排出するCO2に加え、サプライチェーンでの間接的なCO2排出量も含めて算出・可視化、および削減に向けた支援を行うもので、富士通から提供するという。

富士通グループは、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、人と地球が共存し持続可能な成長を支える「Sustainable Manufacturing」の取り組みを進めていくとのことだ。

背景

昨今、世界的にカーボンニュートラル実現が社会全体の重要な課題の一つとなりつつあり、企業が排出するGHG(Green House Gas:温室効果ガス)排出量をCO2排出量として換算した「Scope1(直接排出量:自社の工場・オフィスなど)」、「Scope2(エネルギー起源間接排出量:電力など自社で消費したエネルギー)」に加え、サプライチェーン上など「Scope1」と「Scope2」以外の間接排出量である「Scope3(製造、輸送、出張、通勤など)」も含めた削減が重要になっている。

加えて、上場企業では、CDPやTCFD、SBTiなど様々な機関に向けたCO2排出量の算出・開示対応や、排出量削減に向けたアクションプランの策定・実施など、その対策は喫緊の課題となっているとのことだ。

そのような中、サプライチェーン上のCO2排出量や製品ごとのカーボンフットプリント、ライフサイクルアセスメント(LCA)の算出は、企業内外の膨大なデータ集計が必要となることから特に対応が難しく、多くの企業が課題を抱えているという。

富士通グループは、これまでカーボンニュートラル実現のため、SBTに基づいて、サプライチェーンも含めたグループ全体でのCO2排出量の可視化や各所への開示対応に加え、削減目標を設定して削減に取り組んできたほか、RE100(0)などの国際イニシアチブでの活動を通じた積極的な再生可能エネルギーの導入・管理や、製品のサステナビリティ対応を示すEPEAT(1)の環境ラベル取得などの取り組みをグローバルで行ってきたとのことだ。

今回、上記の取り組みで得たノウハウを顧客へ還元し、SDGsの達成に向けた経営戦略立案から対策の実施までを強力に支援するため、富士通とRidgelinezは連携を強化。

新サービスについて

(1)顧客のSX実現に向けたコンサルティングサービス

  • 顧客のESG課題解決に向けたサステナブル経営戦略立案支援、CO2排出量ゼロを目指すカーボンニュートラル実現化支援、投資家などに向けた各種情報開示対応をサポートするサステナブルガバナンス/ファイナンス支援などのSXコンサルティングサービスをRidgelinezより提供するという。
  • Ridgelinezは、同サービス提供に伴い社内体制を強化し、2022年1月よりカーボンニュートラル領域について再生可能エネルギーやバイオテクノロジー領域などに係る専門性の高いメンバーを中心とした新たな組織「SXプラクティス」を設立し、順次人員を拡充する予定であるとのことだ。
  • 今後、海外でのサステナビリティ関連ニュースなどのタイムリーな情報発信のためのメディア構築を予定しており、総合的なSX実現を推進していくとしている。

(2)サプライチェーン上のCO2排出量の可視化を実現するクラウドサービス

  • 工場や事業所ごとの燃料や電力の使用量などのデータに加え、製品の製造や輸送などサプライチェーン上で発生するCO2排出量などのデータをクラウド上に集約し、総CO2排出量を可視化。
    ものづくりにおける様々なデータをグラフィカルに俯瞰して可視化する「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA 工場最適化ダッシュボード」により、国や地域、事業所、カテゴリごとにCO2排出量を表示可能な画面テンプレートをベースに、顧客の要望に応じてグラフを編集することが可能であるという。
  • さらに、工場内の各設備や製造工程単位でのエネルギー使用量などのデータを収集するサービスとの組み合わせにより、情報収集の効率化やトレーサビリティの確保を実現。
  • これにより、顧客はサプライチェーンも含めたCO2排出量をきめ細かく把握できるようになり、CO2排出量削減に向けた的確な対策の検討・実行を通じて、カーボンニュートラル経営の実現を加速させるとしている。

今後の展開

富士通グループは、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスの実現を目指す新事業ブランド「Fujitsu Uvance」を策定。

「Fujitsu Uvance」のもと、人と地球が共存し持続可能な成長を支える「Sustainable Manufacturing」の取り組みを進めていくとのことだ。

販売目標
2023年度末までに300社の導入を目指すとしている。(富士通の決算期は3月末日)