パーソルキャリア、男性社員の育休取得1か月以上を推奨 休職パターン・収入の可視化など施策も

パーソルキャリア

転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリアは、社員一人ひとりが考える幸せを実現するための手段の1つとして、男性社員の育休取得1か月以上を推奨すると発表した。

■背景

2022年4月には育児・介護休業法が改正され、働く男性はこれまで以上に育休を取得しやすくなる。同社は、育休は社員が各々の幸せを実現するための手段の1つと捉え、全社を挙げて、男性社員の育休取得をさらに推し進めていくことに。

同社では、「1か月以上の育休取得推奨」をスタートラインとし、取得者、取得期間のさらなる拡大に取り組み、男性社員が長期間の育休を取得することが当たり前の風土作りに力を注いでいくという。

■男性の育休期間を「1か月以上」とする理由

産後うつ病発症のピークは、産後2週間~1か月といわれている。さらに、2020年10月に行われた調査では、産後うつ病は新型コロナウイルス感染拡大後、2倍以上に増えているおそれがあることが報告されているという。

また、1か月以上の育休を取得した男性は、その後の育児・家事時間を25分/1日長くしたという調査結果も。夫婦が協力し合って子育てをした場合、妻の夫に対する愛情はV字回復するという調査結果もあり、出産直後の育児が1番大変な時期にどれほど育児に参画できるかは非常に重要といえるとのことだ。

そのためパーソルキャリアは、男性育休の取得推進を推し進めるファーストステップとして、期間を「1か月以上」に。

パーソルキャリアは今後、社員、そして社員のパートナー、さらには専門家の意見を参考にしながら、より最適と思われる推奨期間を定めていくとしている。

―パーソルキャリア独自調査より:男女ともに60%以上が「1か月以上」の男性育休を希望―

学生以外の20代~50代男女で、将来「1か月以上」の育休取得を希望する男性は66.5%、将来「1か月以上」のパートナーの育休取得を希望する女性は64.8%いることが、パーソルキャリアの「男性育休に関する調査」で明らかになった。

さらに、将来育休を取りたい男性は80.0%、パートナーに取得してほしいと思っている女性は68.9%。

しかし、子どもがいる男性で育休を取得したことのある人は15.4%。

取得しなかった理由トップ3は、「育休を取るという考えがなかった」(26.1%)、「当時は男性の育休制度がなかった」(23.8%)、「当時の業務状況では取得が難しかった」(20.0%)となっており、「男性の意識改革」と「会社の制度と風土改革」がキーになるといえるとのことだ。

■男性の育休取得を「推奨」とする理由

パーソルキャリアは当初、最低1週間の育休取得の「義務化」も検討。しかし、短期間の義務化は本質的な課題解決にはならないと判断し、さらに、「妻と話しあった結果、実家のサポートが得られるため育休を取る必要性はない」、「収入が減ることで、住宅ローンの支払いができない」といった声が、一部の男性社員から聞かれたという。

育休は社員の考える幸せを実現する手段の1つだからこそ、各々置かれている状況や事情に合わせて育休が取得できるよう「推奨」としたとのことだ。

―パーソルキャリア独自調査より:男性育休の「義務化」を求める人は、男女ともに半数以下―

学生以外の男女で、男性育休を「義務化すべき」と回答した男性は42.6%、女性は29.3%と、半数に満たない結果となった。

男性の結果だけを見てみると、「義務化」が「推奨」を若干上回っており、これは男性が、「育休は取りにくい。だから義務化すべき」と感じている心理を写し出しているのではないかと同社は分析。

法律の改正と会社の制度整備をベースに、子どもができたら男性が育休を取るのは当たり前という環境作りが求められていると想定されるとのことだ。

■パーソルキャリアの男性の育休取得推進に向けた施策

育休期間と取得を個人の意思に委ねた場合、取得状況は現状維持になりかねない。そこでパーソルキャリアでは、さまざまな施策やフォローアップを実施し、男性社員が1か月以上の育休を取得できる環境を整えているという。

施策:男性育休推進ワーパパ体験プロジェクト
内容:時間制約(9時~17時)のあるワークスタイルを1週間(予定)実体験し、その後、仕事と家事(育児)を両立しながらの働き方について考えるワークショップに参加。
ワークショップでは、気づきや課題を出し合い、ライフも含めた「なりたい姿の可視化」を行い、多様な働き方の実現に向け施策を考案する。

施策:管理職向けライフイベント研修
内容:ライフイベントのうち、メンバーからの妊娠・不妊治療・育児・介護に関する相談に適切に乗ることができるよう①コミュニケーションの取り方、②労務管理者としての必要な知識・背景理解、③パートナー育休(主に男性)の理解促進について研修を実施しているという。

施策:親のがっこう
内容:1万人の子育て経験者が、「子どもが生まれる前に知りたかった」という情報を凝縮したオンラインプログラムを導入。
夫婦で納得感を持って家事・育児に取り組めるよう、価値観のすり合わせや対話ができるコミュニケーションの取り方を、パートナーと共に学ぶことができる。
親のがっこう:https://www.oyanogakkou.jp/

施策:出生届後の意向確認強化
内容:出生届受理社員に対して月1回、育休の取得意向と、上長や関係者への共有同意についてアンケートを実施しており、そのなかで特に、育休を取得しない社員にその理由をしっかりとヒアリングし、育休が取得しやすい環境作りに役立てているという。

施策:休職パターン・収入の可視化
内容:育休取得により収入が減るという不安に対して、収入シミュレーションや休みのパターンを開示。

施策:共育てガイダンス
内容:育休産休担当が2~3か月に1回、親になる心構えなどをインプットし、具体的に育休をプランニングするサポートを実施。

施策:社内イントラネットを通じた情報発信
内容:「収入への不安」「キャリアへの不安」「周囲に迷惑をかけるかもしれない不安」といった課題を払拭するため、社内イントラネットで情報発信を行っているという。

施策:コンシェルジュ創設
労務担当者にオンラインで、自身の育休のベストプランを相談することができる。

施策:FP(ファイナンシャル・プランナー)相談
会社が提携している福利厚生サービスとして、お金のプロの支援(FP相談や給付金解説セミナーなど)が無料で受けられるとのことだ。

モバイルバージョンを終了