ANAホールディングス(ANAHD)は、2021年10月20日、Virgin Orbit(以下、ヴァージン・オービット)と日本国内での航空機を利用した人工衛星打上げ事業の展開に向けた基本合意書の締結に至ったと発表した。

今回の基本合意書締結の目的は、ANAHDとヴァージン・オービットが2019年6月に発表したパートナーシップを強化し、改修したジャンボジェット(ボーイング747-400型機)を使用して高度約10㎞でロケットを航空機から切り離して打上げる、ヴァージン・オービットの技術を活用した日本国内での人工衛星打上げ事業の実現に向けた具体的な協議を行うことであるという。

ANAHDは、事業展開に必要な国内における許認可の取得、ロケットの衛星搭載スペースの販売、宇宙港で使用する地上支援機材の手配・輸送、ファイナンスの組成等の役割を担うことで、事業の実現並びに日本の宇宙産業の拡大に貢献するとのことだ。

また、衛星搭載スペースの販売については国内独占販売権を取得し、多角化事業を担う全日空商事と協業する事によるビジネスの拡大を目指すとしている。

日本からの打上げについては、ヴァージン・オービットがパートナーシップを結んでいる大分空港の宇宙港としての活用が検討されており、2022年以降10年間で20回の打上げを目指すという。

航空機を用いて上空から人工衛星を打上げることにより、天候事由による打上げ時期の調整が減少するとともに、地上から垂直に打ち上げるよりもロケットに必要となる搭載燃料が少なくなることから、環境への貢献、経済的なパフォーマンスが向上するとのことだ。

ANAHDとヴァ―ジン・オービットは、日本・アジアにおける民間企業と政府機関双方の潜在的な需要に1日も早く応え日本の宇宙産業の拡大に貢献することができるよう、計画の具体化に向け協議を重ねていくとしている。