ソフトバンク、高精度測位サービスのグローバル展開へ 子会社ALESとスイスのu-bloxと協業

ソフトバンクとALES、スイスのu-blox AG(以下、u-blox)の3社は、高精度測位サービスのグローバル展開に向けた協業に合意したことを発表した。

今回、日本国内向けに高精度測位サービス「ichimill」を提供するソフトバンクと、位置補正情報の生成・配信事業を展開するALES、そして自動車や産業機器、消費者市場におけるポジショニング(測位)とワイヤレス通信電子部品の世界的なテクノロジーリーダーであり、欧米を中心に高精度測位サービス「PointPerfect」を展開するu-bloxが協業。

これにより、グローバルに事業を展開する自動車メーカーや建機・農機メーカーが、日本や欧米などで共通して高精度測位サービスを利用できる環境の構築を目指すという。

具体的には、グローバルに対応した補正情報配信基盤や、GNSS受信機などのデバイスの開発、サービス対象エリアの拡大などに取り組む予定であるとのことだ。

協業の背景

ソフトバンクは、GNSSの信号を利用したRTK測位により、誤差数センチメートルで測位ができる高精度測位サービス「ichimill」を、2019年11月から提供している。

ALESは、「ichimill」に補正情報の生成・配信技術を提供している他、2020年8月から個人のユーザー向けに「センチメートル級測位サービス」を提供しているという。

u-bloxは、測位とワイヤレス通信電子部品の世界的なテクノロジーリーダーとして、半導体や通信モジュールなどを開発し、提供。

また、PPP-RTK方式による高精度測位サービス「PointPerfect」を2021年7月から提供しており、現在は欧米エリアの全域で利用が可能となっているとのことだ。

こうした高精度測位を実現するサービスは、主に国や地域別に展開されているため、グローバルに事業を展開する自動車メーカーや建機・農機メーカーなどの企業は、各国・地域に応じてサービスを契約したり、GNSS受信機を準備したりする必要がある。

そこで、ソフトバンクとALES、u-bloxは、日本や欧米などで共通して高精度測位サービスを利用できる環境の構築を目指して、協業することに合意したとのことだ。

協業の概要

今後、ソフトバンクとALES、u-bloxは、高精度測位サービスのグローバル展開に向けて、下記の取り組みについて検討していくとしている。

(1)グローバルな補正情報配信基盤の開発

高精度測位サービスは、国や地域によって普及している補正手法が異なり、補正信号の形式(フォーマット)も多岐にわたっている。この補正信号のフォーマットを配信システム上で統一し、国や地域を問わず利用できる補正情報配信基盤を、2022年内をめどに開発。

これにより、「ichimill」または「PointPerfect」を利用している企業は、両サービスの対象エリア内であれば、国や地域ごとにサービスを契約しなくても、高精度測位が行えるようになるとのことだ。

(2)グローバル対応デバイスの共同開発

高精度測位サービスの普及には、補正情報の配信だけではなく、GNSS受信機などのデバイス面においても導入しやすい環境が必要であるという。

ソフトバンクは、「ichimill」の提供と併せて、導入しやすい価格帯のGNSS受信機を独自開発し、日本国内向けに提供している。今後3社は、グローバルに利用できるGNSS受信機やモジュールの開発に向けて取り組んでいくとのことだ。

(3)測位精度の向上とサービス対象エリアの拡大

現在u-bloxが「PointPerfect」を展開している欧米エリアについて、ソフトバンクが「ichimill」の提供で培ってきたノウハウを活用しながら、測位精度の向上を検討。さらに、アジア圏などへのサービス対象エリアの拡大についても、3社で検討していく予定であるとのことだ。

また、ソフトバンクでは、海上や上空、発展途上国やルーラルエリアなどのインターネット環境が整っていない地域においても、誰もがインターネットに接続できる世界を目指して、宇宙空間や成層圏から通信ネットワークを提供する非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network、以下、NTN)ソリューションの展開に向けて取り組んでいる。

今後は、NTNの帯域に適した少量データの補正情報配信など、NTNソリューションと連携したサービスの開発も検討していくとしている。

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