テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が、アフターコロナを見据えた働き方として注目されている。自宅とオフィスはもちろん、カフェや移動中であってもシームレスかつ効率的にタスクをこなしていくのが、ニューノーマル時代のワークスタイルとして定着。

また、「働きがいも経済成長も」を目標の一つとして掲げるSDGsにも記載される「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」も浸透すると考えられ、仕事と家事・プライベートの両立、やりがいや創造性のある働き方は、ますます重要になっていくだろう。

つまり、これからのワークスタイルは、テレワークとオフィスワークの二元論にとどまらない、多様なバリエーションが求められることになる。真の意味でのハイブリッドワーク を実現するためには、多彩なシーンに対応するデバイスが必要だ。しかし、軽量かつ高性能な製品が乱立する中で、ニューノーマル時代に最適なデバイスはどこにあるのだろうか。そのヒントを探るべく、生産性と創造性を高めるための設計が追求されたマイクロソフトのSurface シリーズについて、ハイブリッドワークとの親和性からサステナビリティへの取り組みに至る、最新事情を見ていく。

多様化・複雑化してきた“仕事をする場所”にまつわる問題

新型コロナウイルスによる環境変化がもたらした、在宅勤務の定着。東京都が行った2021年8月のテレワーク実施率調査では、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は65.0%に到達。過去最高数値を記録している。

一方、社会活動の回復によって、オフィスへの出勤や対面での打ち合わせ、カフェやワークスペースでの作業など、仕事のための外出を再開している人も多いだろう。こうした流れに対するサービスも充実してきており、パソコンなどを気兼ねなく使用できる東海道・山陽新幹線のビジネスパーソン向け車両「S Work車両」、青山商事が展開するシェアオフィス事業「BeSmart」など、多様な業界からの参入が相次いでいる。

事業者側のオフィス改革も活発だ。働き方改革を実現するサテライトオフィスは、コロナ禍を受けニーズが急増。フリーアドレスもコロナ以前からのトレンドだが、ソーシャルディスタンスを確保しやすいことから、オフィス改革の選択肢として注目されている。

こうした多様な働き方は、コロナ収束後も継続されていくのだろうか。三菱地所が2021年6月に公表した就業者アンケートの調査結果では、「勤め先の勤務体系比率(オフィス:テレワーク比/コロナ禍終息後の現実)」における「オフィス・テレワーク併用」が65%を占めている。同調査では、20 〜30 代の若年層ほど、自転車通勤や地方移住、二拠点居住といったライフスタイルの変革に積極的な傾向も見られた。

特にテレワークは、感染予防や効率化だけでなく、育児や介護、プライベートといったワークライフバランスの確保においても重要化していくだろう。2030年の達成を目指すSDGsでも、目標8「働きがいも 経済成長も」のターゲットに「働きがいのある人間らしい仕事」が掲げられている。「ディーセント・ワーク(Decent Work)」とも呼ばれるこの概念は、国際労働機関(ILO)においても推進が目指されており、今後は企業側の義務としてスタンダードとなっていく可能性も高い。

一方で、さまざまな問題が浮上しているのも事実だ。タスクやコミュニケーションのリモート化に起因する、「生産性が逆に下がる」「メンタル面で不調を抱える」「マネジメントが困難」といった声は、たびたびメディアで取り上げられてきた。また、不十分な通信環境やセキュリティリスクも、従業員や企業を悩ます課題になっている。

このように複雑化を極めるニューノーマル時代のワークスタイル。日本では今後、どのような働き方が定着していくのだろうか。未来、そのアンサーになり得るのが「ハイブリッドワーク」だろう。

ハイブリッドワークのキーワードは、人が中心となる“ヒューマンセントリック”

ハイブリッドワークとは、場所に捕われず、個々のニーズに合ったスタイルを組み合わせた働き方のことを指す。

先述したそれぞれ職場の長所・短所を踏まえた上で、働く場所を主体的かつ柔軟に選択しながら、生産性を確保していくのが目的だ。海外ではグーグルの導入などによって注目を集めているが、国内でも富士通が「真のハイブリッドワークを実現」を盛り込んだ自社の働き方のコンセプト「Work Life Shift 2.0」を2021年10月に発表するなど、先進的な企業では既に取り組まれている。

ハイブリッドワークは、オフィス、自宅、カフェ、ワークスペース、サテライトオフィス、移動中の車内にいたる、あらゆる場所を職場にすることで、真の力を発揮する。しかし、いくら企業や社会がハイブリッドワークにシフトしたとしても、個人が対応できなければ、高い生産性やワークライフバランスは実現できないだろう。従来のワークスタイルが“場所”中心だったのに対し、今後のワークスタイルが多様化するハイブリッドワークの中心は、“人”となるからだ。

では、一人一人がハイブリッドワークを実現する上で、何が条件となるのだろうか。ここでは、大部分のビジネスパーソンに共通する、“デバイス”という観点から考えてみたい。 オフィスと自宅を行き来する上では、デスクトップよりもノートPCが適切なのは言うまでもない。一方、近年のノートPCは、バッテリーや重量、耐久性などが飛躍的に向上しており、そのラインナップも多様化している。また、ノートPCとタブレット型PCの両方の使い方ができる「2in1」も進化しており、選択肢の一つになっている。

ハイブリッドワークに適したデバイスを選ぶ3つのポイント

では、どのような視点から、ハイブリッドワークに適した一台を選ぶべきなのだろうか。3つのポイントを紹介する。

●さらに重要性を増すカメラ、スピーカー、マイクなどのAV機能のクオリティ

オンライン会議が増加するなか、画質や音質の乱れは、生産性や顧客満足度の低下を引き起こす要因になる。カフェや他の家族が生活する自宅では、ノイズスキャン性能も必要だ。テレワークによる社内のコミュニケーションの問題解決にも貢献するだろう。特に、社内スタッフとの信頼関係を構築できないまま仕事を進めなければならない“リモートネイティブ世代”の新入・若手社員は、コミュニケーションに対する心理的障壁を感じているケースが多い。表情や声色の微妙な変化をオンライン上でも維持し、対面に近い状態を実現できるデバイスが必要になるのだ。

●選択肢を広げるためのパフォーマンスとモビリティの両立

次に重視したいのが、パフォーマンスとモビリティの両立だ。かつて、「小型・軽量であるほど、スペックが下がる」が常識だったデバイスだが、現在はその両立を実現している機種が続出している。必要な処理速度や容量、AV性能などとともに、「持ち運びに困らないか」「カフェの小さなテーブルでも作業ができるか」といった部分も考慮する必要があるだろう。

また、コロナ以前から、外回りが多いビジネスパーソンが移動中にメールチェックや資料確認をタブレットで進める光景が見られたが、今後は新幹線の例でも見たように、「移動中=簡単な作業」ではなくなるのだ。こうした場合は、資料の作成なども可能になる2in1が、最も有効な選択肢になるだろう。加えて、LTEモデルの2in1を選ぶことで、Wi-Fiに依存せずネットワークにアクセスすることもできる。場所の選択肢を広げるだけでなく、セキュリティ面からも有効だ。

●ニーズが増加するマルチタスクへの汎用性

3つ目が汎用性だ。どのような場所でも同じ作業を行うためには、1台のデバイスでいかに多くの作業をできるかがポイントになる。近年の2in1は、「タブレットモード」「デスクトップモード」というように、操作方法を状況に応じて切り替えられる製品が多い。また、ワードやエクセル、パワーポイントでの作業に向いていないイメージの強いタブレットだが、もはや操作に困らない仕様になっている。

以上を踏まえながら、自分のワークスタイルと照らし合わせてデバイスを選ぶことが適切になる。エンジニアやデザイナーのように、ある程度大きなモニターが必要な場合、実際にはほとんど自宅で作業する場合などは、スペックも重視する必要もあるだろう。その上で、打ち合わせがリモート化するなどの変化を考えると、特にAV性能は重要になりそうだ。

ハイブリッドワーク時代を見据えて設計されたSurface の先進性

では次に、2in1を選択肢とする可能性について見てみる。2in1という概念を市場で初めて生み出したのが、マイクロソフトの「Surface 」シリーズだ。初代となる「RTモデル」が発売されたのは2012年。以後モデルチェンジを重ねながら、ノートPCと一線を画す形で独自の地位を築いていった。

10年近いこの歴史は、スマートフォンの普及、働き方改革に伴うテレワークの浸透、SDGsの採択(2015年)および気運の高まり、そして新型コロナウイルスの感染拡大と、ハイブリッドワークに至る時代の流れと重なっている。

マイクロソフトには、Surface の開発当初からハイブリッドワークの時代が到来すると予測していたと語るのが、日本マイクロソフト株式会社 Surface ビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの山上佳那子さんだ。

「『PCをデスクの上に据え置く時代はもう終わる』という思想のもと、Surface は設計されました。Surface にはノートPCモデルもありますが、フラッグシップモデル(※メーカーが提供する製品の中で、最上級品に位置する商品)は2in1という位置づけです。実際に、コロナ以前は『移動や打ち合わせが多いか』『デスクワークが多いか』というように、職種によってデバイスが選ばれていましたが、現在は誰もが働く場所を自由に選べる時代。場所を選ばない設計が施されている2in1は、ハイブリッドワーク時代に多くのユーザーの生産性を高められると確信しています」

日本マイクロソフト株式会社 Surface ビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャー 山上佳那子さん

Surface の設計理念(PRODUCT PHILOSOPHY)には、「常に『革新的』であること(INNOVATIVE)」「『人』を中心とした設計(HUMAN)」「突き抜けた『こだわり』(QUALITY)」が掲げられている。このうち、ハイブリッドワークを考える上で、特に注目したいのが「HUMAN」だ。

「オフィス空間で生産性が上がる」に代表される従来の働き方は、“場所”を中心とした考えが前提となっていた。しかしその前提が崩れたことで、今後は“人”が中心になると考えられる。移動中であろうが、周囲の雑音がうるさかろうが、私たちは生産性や創造力を維持しつづけなければならない。「誰がどこで使うものなのか」を追求して開発されたSurface は、2in1というモデルの革新性だけでなく、モビリティによってスペックが犠牲にならないことも、初めから重視されているのだ。

「2in1を購入しても、ノートやデスクトップPCと併用していては、結局“2台持ち”になります。それは人がデバイスに適応する形なので、“人中心”の設計思想から離れてしまうんです。だからこそ、高度なCPUや AV性能、ユーザビリティも備えなければいけない。初期のSurface がデバイス市場にもたらした2in1というインパクトに、マイクロソフトだからこそ実現できるテクノロジーを駆使して進化させたのが、現在のSurface です」

今秋発売を予定している「Surface Pro 8」

マイクロソフトは今秋、新製品「Surface Pro 8 」をリリースした。第11世代インテル® Core™ プロセッサ、最大 16 時間のバッテリー駆動時間といったスペックをベースに、フルハイビジョン対応の高画質カメラ、高音質のDual far-field スタジオ マイクによって、コミュニケーション品質の飛躍的に向上させている。

ノイズ自動除去や画像の自動補正機能も搭載されており、「カフェのBGMが聞こえる」「逆光で顔が映らない」といったトラブルも心配ない。一方、Windows 11 、PowerPointやTeams などのMicrosoft 365をはじめとしたマイクロソフトのソリューションとの親和性は、作業においてもユーザーをサポートするだろう。LTEモデルも用意されているため、優れたネットワークの接続性により常にストレスなくパフォーマンスを発揮できる。

細部へのこだわりも、ハイブリッドワークに対応している。ケーブルに引っかかった際の安全性を確保するマグネット式の充電ポート、ペンへのほどよいフィードバックを返すことで紙のような書き心地を実現するペン、角度を自由に調整できるキックスタンドなどは、人がどのようにデバイスに触れるかを研究し尽くした成果なのだろう。こうした機能を駆使することで、例えば、オンライン上でホワイトボードアプリを同時編集したり、対面でのブレストで角度を変えながら自由に書き込んだり、プレゼンの際にポインタやスライドの切り替えをペン一つで操作したりすることができる。

キックスタンドの角度を無段階で調整でき、Surface ペンとの相性も抜群なPro 8
この秋、発売される Surface Laptop Studioでは様々なユーザビリティを考え抜かれた上で設計がされている

ハイブリッドワーク時代を見据えた多彩な機能によって、作業の生産性向上はもちろん、新たなアイデアやチームワークを生むコミュニケーションが可能になる。それをどのような空間でも実現できるように、細部にわたって工夫を施しているのが、Surface の特長なのだ。

生産性だけでなく「持続可能な社会」どう貢献していくか?

ハイブリッドワークにおける優位性を見てきたが、Surface が未来のデバイスのスタンダードとなり得る要素が、もう一つある。サステナビリティだ。

Surface は、梱包と本体を2030年までに100%リサイクル可能にする目標を設定。新素材開発の試験では、10%の海洋プラスチックを利用するなどの取り組みを進めている。また、製品利用時における年間総エネルギー消費量の削減も目指しており、私たちユーザーがSurface を利用すること自体が地球社会への貢献になる日も近づいているのだ。CO2において排出量よりも吸収量を多くする「カーボンネガティブ」の旗振り役としても有名なマイクロソフトの、未来への挑戦ともいえるだろう。

参照:Microsoft Devices Sustainability Report FY20

さらに、今年9月には、障がいを持つユーザー向けのアクセサリ「Surface アダプティブ キット 」が発表された。キーボード用の半透明のマルチカラーステッカーや突起のある触覚ステッカー、コネクタ部分の特別な触覚インジケータによって、キーやデバイスコネクタを簡単に見つけることができるものだ。マイクロソフトのインクルーシブな姿勢が現れている。

Surface アダプティブ キットの一例

マイクロソフトには、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」という企業ミッションがある。私たち一人ひとりが場所に拘束されることなく自由に働き、同時に多様性のある社会を実現していく。そうした未来に向かう必需品こそが、Surface なのだ。

来たるハイブリッドワーク時代。肌身離さず持ち歩くデバイスというパートナーを、あなたはどのような観点から選ぶだろうか?

取材・文:相澤優太