ユーグレナは、東洋大学の吉田崇将助教との共同研究により、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下、ユーグレナ)を継続的に摂取することで、腸内フローラの多様性が高まり、睡眠の質が向上することを示唆する研究成果を確認したと発表した。
なお、今回の研究成果は、2021年9月23日〜9月24日に開催にされた「日本睡眠学会第46回定期学術集会」、2021年10月2日〜10月3日開催にされた「第43回日本臨床栄養学会総会」で発表したという。
■研究の目的
腸内には細菌がおよそ100種類以上、100兆個も生息しており、腸内細菌の集団は腸内フローラと呼ばれている。
腸内フローラを含む腸内環境は、脳機能と相互に影響しあうことが知られており(脳腸相関)、脳機能のひとつである睡眠も、腸内環境から影響を受けるとされているとのことだ。
ストレスなどの原因により、腸内フローラの多様性が崩れると、便秘や下痢など、さまざまな不調につながると言われている。そこで、⼼⾝の健康を維持するためには、⽣活習慣や食習慣を通じて腸内フローラを良好に保つことが重要と考えられているという。
これまでに同社は、ユーグレナの摂取により酪酸産生菌の占有率が増加する可能性や睡眠の質が向上する可能性を報告。
今回、ヒト臨床試験を行い、腸内フローラの解析と睡眠の質に関する質問紙を用いた調査を実施して、ユーグレナの摂取が腸内フローラの多様性と睡眠の質にどのような影響を及ぼすのか調べたとしている。
同社は、健康の基盤を維持した上で、より良い状態へ高めることで、サステナブルな健康を実現することが大切だと考えているという。
健康の基盤を妨げる複合的要因として「栄養不足」「心身の疲労」「免疫力低下」の相互関係に着目しており、ユーグレナの摂取を通じてからだが本来持つ「つくる・はたらく・まもる」のサイクルが保たれ、サステナブルな健康が実現する可能性について研究を進めているという。
■研究の内容と結果
同研究では、成人男性32名(20~41歳)をユーグレナ3,000 mg含有カプセル摂取群とプラセボカプセル摂取群の2群に分け、摂取開始前、および4週間にわたり毎夕食後に摂取した後の2つの時点で、腸内フローラおよび腸内環境の解析を行い、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いて睡眠の質に関する調査を実施。
ユーグレナの摂取により腸内フローラの多様性が高まり、睡眠の質が向上することが示唆された
ユーグレナを4週間続けて摂取することで、不眠傾向(PSQIのスコア)が、プラセボカプセル摂取群と比較して有意に減少し、睡眠の質が向上(図1、左)。
また、腸内フローラの多様性が、プラセボカプセル摂取群と比較して有意に増加(図1、右)。
さらに、腸内フローラの多様性が高くなるほど、睡眠の質が良くなる(不眠傾向を示すPSQIのスコアが減少する)という関係性が示されたという(図2)。
これらの結果は、ユーグレナの長期摂取が、腸内フローラの多様性を高め、睡眠の質を改善する可能性を示しているとのことだ。
グラフは、摂取開始前から4週間後にかけての睡眠の質と腸内フローラの多様性の変化量を示しているという。
グラフ内赤線は、中央値を示しており、上下端の黒線は最大値と最小値を、ボックスはデータの分布を示している(第一四分位数、第三四分位数)。
左:ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)の総合得点は、一般に不眠傾向を示し、数値が低いほど、睡眠の質が良いことを示している。
右:Shannon指数は、陽内フローラの多様性を示している。