資生堂は、世界で初めて定量性のある高精度な「たるみ」評価法の開発に成功したと発表した。
一般的に、重力により顔の皮膚組織が変形することによって発生する「たるみ」の原因は、肌のはり、脂肪の蓄積、表情筋の衰え、表皮や真皮の老化など、内外の複合的な要因が複雑に関与しているという。
これまで、見た目年齢に大きく寄与する「たるみ」を評価する方法としては、画像を用いた視感判定が一般的だったが、判定者の主観に影響され、再現性良く評価することが難しいという課題があったとしている。
今回、3次元カメラを用いて全顔の形状を撮影し、姿勢を変えたときに発生する「重力による顔の体積変化」を数学的テクニックにより変換することで、精度よくかつ客観的に「たるみ」を評価できる「たるみ指数」を開発。
評価法の検証には、「たるみ」に効果のある素材を配合した試作品を、独自の美容法を組み合わせた使用ステップにより被験者が2週間連用するテスト結果を活用したという。
その結果、新規の「たるみ」指標を用いた「たるみ」評価により、これまで精度良く評価することが難しかった「利用者の効果実感」を確実に捉えることができるようになったとのことだ。
「たるみ」の新たな評価法の開発
重力で顔が変形することにより発生する「たるみ」を正確に測定するために、3次元カメラを用いて全顔の形状を、姿勢を変えて撮影。
座位と仰臥位(あおむけ)の顔形状から算出した体積差分を変換した「たるみ指数」は、実年齢の相関以上に見た目の年齢を表している「たるみ」スコア(視感評価値)と、より相関性が高いことが分かったという。
また、「たるみ指数」1cc分の変化は見た目年齢で6.7歳分に相当することも分かったとし、「たるみ指数」と視感評価値の関係から、見た目年齢の変化を正確に推定することが可能となったとのことだ。
さらに、「たるみ指数」は、「たるみ」と認識される顔形状の要素を的確に表すことから、この評価法を用いて客観的かつ定量的に「たるみ」を評価できると考えられるとしている。
連用テストによる評価法の妥当性検証
「たるみ指数」を利用したたるみ評価法の妥当性を検証するため、「たるみ」に効果が期待される成分を用いて2週間の連用テストを実施。
評価法の検証には、「たるみ」に効果のある「赤松抽出液」「十薬抽出液」を配合した試作品に、今回新たに考案した独自の使用ステップやセルフマッサージを加えた美容法を組み合わせたという。
その結果、連用前後で有意に「たるみ指数」が減少したことから、わずか2週間の期間における「たるみ」の改善を評価できることが確認できたとのことだ。
今回検出された有意な「たるみ指数」の約0.29cc分の減少は、およそ2歳分の「たるみ」が改善したことを意味しているという。
さらに各被験者個人の「たるみ指数」から、参加した被験者のうち55%の人で、明らかに「たるみ」が改善していることも確認。
今回開発した評価法は、言語や皮膚色に影響されることがないことから、世界中の利用者向けて、客観的に「たるみ」改善の評価を行うことができるとのことだ。
資生堂の「たるみ」研究は、今回開発した評価法を用いてアンチエイジングソリューションの革新を進めるとともに、先進的な皮膚科学研究に基づくメカニズム、皮膚内部を測定する測定法や評価法、効果的な成分探索、優れた美容メソッドの開発など、さまざまな側面からのアプローチを行っていくとしている。
資生堂は、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」の実現を目指し、お客さまの期待を超えた新たな価値の創出に挑戦し続けるとのことだ。