ヤフー(以下、Yahoo!JAPAN)は、日本最大級のインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」が提供する「Yahoo!ニュースコメント」(以下、コメント欄)における言論の場の健全化を目指すため、取り組みを強化すると発表した。
「Yahoo!ニュース」は2007年よりコメント欄を提供開始。
コメント欄内における人権侵害や差別に当たりうる投稿は一切許容しておらず、ユーザー一人ひとりの多様な意見を尊重しながら、健全な言論空間を創出するために様々な取り組みを行ってきたとしている。
しかし、一部のコメント欄において「Yahoo!ニュース」が目指している目的を実現できていないという課題があったことから、「投稿停止措置」の厳格化や記事単位でコメント欄を自動的に非表示とする機能の導入など、これまで以上に誹謗中傷への厳正な対策を講じるとのことだ。
「Yahoo!ニュース」は、以前より誹謗中傷などの内容を含む投稿を禁止し、コメントポリシーに違反投稿の具体例をわかりやすく明示したうえで、コメント投稿フォームにも記載しているという。
また、24時間体制の専門チームによる人的なパトロールに加えて、自社で開発した「深層学習を用いた自然言語処理モデル(AI)」や、独自に開発した深層学習特化型スーパーコンピュータ「kukai」を活用するなど、テクノロジーを駆使しながら、誹謗中傷をはじめとする違反コメントを1日平均約2万件削除するなどの対策を実施。
加えて、誹謗中傷などの違反コメントを複数にわたって投稿したユーザーに対し2018年6月より「投稿停止措置」を行っているとのことだ。
一方で情報の流通基盤であるプラットフォーム事業を営む企業は、投稿者の表現の自由とのバランスを慎重に見極めながら適正に対応することも重要であると考えているという。
Yahoo!JAPANは、人権救済の観点より誹謗中傷投稿に対して厳正に対処していくとともに、表現の自由にも配慮したインターネット上の言論空間全体の健全化に向け、誹謗中傷対策の強化や透明化を進めるために取り組んでいるとのことだ。
今回強化する主な取り組みは以下の通りとなる。
■AIを活用した投稿時注意メッセージの掲出内容変更と「投稿停止措置」の厳格化
「Yahoo!ニュース」は2020年7月より、AIによって違反と判定されたコメントを複数回投稿しているユーザーに対して注意喚起し、投稿するコメント内容の再考を促すためのメッセージを掲出。
同取り組み開始直後の同年8月と比較して、4か月後の同年12月には、コメントを投稿したユーザー数が増加したのに対し、注意メッセージが掲出されたユーザー数が13.5%減少するなど、一定の効果が出ていることがうかがえたとしている。
この注意メッセージの表現をより強めて、「コメントの投稿ができなくなる可能性がある」と警告する内容を掲出していいるとのことだ。
また、「Yahoo!ニュース」は、違反コメントを複数にわたって投稿したユーザーに対して、2018年6月より「投稿停止措置」を実施。
今回「投稿停止措置」の対象を拡大し、誹謗中傷などの違反コメント投稿を繰り返す悪質なユーザーへの措置を、これまで以上に厳格化していくという。
なお、投稿停止措置を受けたユーザーについては、異議申し立てのための問い合わせ窓口を用意し、措置の内容についてもあらためて確認を行ってくとのことだ。
■記事単位でコメント欄を自動的に非表示とする機能の導入
一定以上の投稿数のある記事のコメント欄を対象に、AIが判定した違反コメント数などの基準に従い、コメント欄を自動的に非表示にするという。
なお、対象となるコメント欄の非表示においては、客観的かつ恣意性のない基準を設けるとともに、個別の違反コメントの削除および違反コメント投稿者に対する厳正な対処も同時に進めていく必要があると考えているという。
今後実施した非表示対応を検証して、適切に行われているか適宜確認をするとともに、有識者やユーザーなど外部の意見を参考にしながら改善を積み重ねていく予定とのことだ。
■衆議院選挙期間中における注意メッセージの掲出
第49回衆議院選挙の選挙運動期間中(2021年10月19日〜10月31日)に、「Yahoo!ニュース」の政治カテゴリに掲載される全ての記事において、コメント投稿時に特別な注意メッセージを掲出。
公職選挙法によると、「当選を得させない目的をもって公職の候補者に関し虚偽の事実を公にし、又は事実をゆがめて公に」するなどの行為は禁止されており、また、名誉毀損や侮辱などの行為も法律で禁止されている。
「Yahoo!ニュース」は、多様な意見の尊重と公正な選挙の実現に配慮し、コメント投稿時に注意メッセージを掲出して注意喚起を行うことで、選挙運動期間中に選挙の公正を阻害や選挙結果に影響を及ぼす可能性のある虚偽の事項についての書き込みなどがされることを抑止するとのことだ。
「Yahoo!ニュース」は今後も、投稿者に再考を促して誹謗中傷などの投稿を防止する取り組みの強化や、多様な意見を提示するAIの開発に取り組むなど、さまざまな施策を実行していく予定としている。
それにより、コメント欄で投稿される多様な考えや意見によってユーザーがニュースに対する興味や多角的な視点を持つきっかけを提供していくとのことだ。