東日本電信電話(以下、NTT東日本)は、最先端の睡眠医学の知見を持つブレインスリープと連携し、森ビルの運営する大企業の事業創出に特化した世界初のインキュベーションセンター「ARCH」において、睡眠の新規事業創発を目的とした「睡眠新規事業創出プログラム(以下、睡眠プログラム)」を実施したと発表した。
睡眠プログラム実施の背景
日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で睡眠時間が最も短く、かつ年々短くなる傾向にあることが知られている。
近年話題となった「睡眠負債」とは、日々の睡眠時間の短縮が本人の気付かないうちに蓄積されること、それにより、日中の集中力低下、精神状態の悪化、生活習慣病を含む様々な疾病リスクの増大などの多くの悪影響が現れることを意味しているとのことだ。
企業においても同様で、従業員の睡眠不足が蓄積し、もしくは従業員の睡眠障害によって、労働生産性の低下や経営効率の低下を招いているという。
人間の必要不可欠な活動の一つである睡眠に関する課題は、様々な産業分野のプレイヤーにとっても共通課題となっている。
この大きな社会課題解決には、各産業を牽引する大企業が持つ豊富なリソースおよびネットワークを活用して新たなイノベーションを創出することが早道だと考え、そのような企業が多数参画するARCHでの同プログラムの実施に至ったとしている。
また、大企業で新規事業を立ち上げようと日々奮闘するARCH会員個人の睡眠状況の可視化および改善をサポートすることで、ARCH参画企業の更なるビジネス促進も目的としているとのことだ。
睡眠新規事業創出プログラムの主な実施内容
【対象者】ARCH会員38名
【実施項目】
- 睡眠に関する世の中の課題および正しい睡眠知識の提供
・ブレインスリープ社最高研究顧問 西野による最新睡眠医学に関するセミナー
・ブレインスリープ社代表取締役 道端による睡眠ビジネスに関するセミナー
・NTT東日本での睡眠ソリューション開発に関するセミナー - 睡眠への関心向上
・「睡眠偏差値for Biz」による個人別睡眠偏差値の取得
・全国一万人のベースデータとの比較した結果のフィードバック - 睡眠改善に向けたトライアルの実施
TRUE NATURE MEDITATION LLC.によるメディテーションプログラムの開催
・ARCH内で参画希望企業を募り、「睡眠偏差値for Biz」による効果測定を実施
-入眠アロマの提供:エステー
-仮眠検証のためのソロワークブース「dop」の提供:コクヨ
睡眠新規事業創出プログラムの主な実施結果
<全体>
プログラム参加者における睡眠偏差値の平均数値が、プログラム実施前に比べ、2ポイント向上(46.1→48.1)
<個別プログラム単位>
マインドフルネスプログラムの開催:TRUE NATURE MEDITATION LLC.
<概要>
プログラムを8週間実施し、実施前後を睡眠偏差値for Bizによって計測
<結果>
日中の眠気の項目で、プログラム実施前に比べ、スコアが21.6%改善
入眠アロマの提供:エステー
<概要>
被験者にトドマツの香りを配合した専用のアロマオイルを就寝前に使用してもらい、睡眠偏差値for Bizによって効果を測定
<結果>
アロマ使用により入眠改善が4.8ポイント(90.0→94.8)向上、中途覚醒は8.7ポイント(53.5→44.8)低減
仮眠検証のためのソロワークブース「dop」の提供:コクヨ
<概要>
「dop」のリラックスモードにて仮眠(20分および1時間)を実施し、PVT測定による起床後のパフォーマンス測定および脳波による睡眠ステージ測定を実施
<結果>
20分間の仮眠を行うことで、仮眠なしの場合に比べ、業務効率スコアの向上を確認
1時間の仮眠では、より深い睡眠に到達する可能性を確認
今後の展開
睡眠新規事業創出プログラムを経て、現在ARCHに参画する複数の企業が、それぞれの得意分野をもって協業する意向を表明しており、睡眠に関する新規事業がより広範囲に及ぶ形で進行している。
各社が睡眠ビジネスの創出をめざすとともに、ARCHという舞台で各社連携して睡眠課題の解消に向けたイノベーションを創出し、睡眠ビジネス分野の確立・拡大に向けて取り組んでいくとのことだ。