清水建設は、被害が甚大化する風水害への備えとして、国土交通省が推奨するタイムライン(防災行動計画)の策定・実践を支援するシステム「ピンポイント・タイムライン」を開発したと発表した。

このシステムの特長は、ピンポイントな気象情報と施設情報をもとに、その時、その場で必要な防災対策をシステム利用者に自動的にSNS等のITツールで通知できるとのことだ。

システムの基本性能については、8月豪雨の際に九州の同社工事現場において確認済。引き続き現場での実証運用を通じて使い勝手等の改善を図り、早期の実用化を目指し、同時に、システムを活用した民間企業向けサービスの事業化に向けた準備を進めるとのことだ。

タイムラインとは、災害の発生を前提に、災害時に発生する状況を予め想定した上で、いつ、誰が、何をするか、に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した防災行動計画。

一方、適切なタイムラインの立案には専門家の知見が必要であるとし、風水害対策の事例だけでも、対策要員の参集、従業員への避難・自宅待機指示、資材等の事前手配、停電対策、生産ラインの事前停止など多岐に渡るうえ、建物用途や立地まで考慮した防災対策の選定・組み合わせは容易ではないとしている。

ピンポイント・タイムラインはこうした社会ニーズに対応したシステムとなっている。

システムの適用にあたっては、初めに同社の専門家が施設や事業所の防災担当者にヒアリングを実施。

これにより、ハザードマップ上での洪水、内水氾濫、高潮、強風などシステムの納入先で想定される風水害や、風水害がもたらす可能性があるリスク、被害を防止・軽減する具体的な防災対策、各対策を実施する気象条件とタイミングなどを評価して具体的な防災行動計画を策定し、システムのデータベースを構築するとのことだ。

ピンポイント・タイムラインの主な機能は、システム利用者へのタイムリーな防災対策の通知と対策実施状況の情報共有。

実際には、災害の発生が懸念される台風や大雨などの気象予報情報が発せられた場合、システムが気象予報情報を勘案し、最大5日前から適時、必要な防災対策を事前に登録している利用者の対策要員などに通知するという。

対策要員が防災対策を実施すると、SNSの画面に提示されるチェックボックスをクリックすることで、関係者全員で防災行動計画の実施状況を共有できる。

このため、システム利用者は風水害が迫り目先で発生する事象に対応しながらでも、適切な防災対策を確実に実施できるとのことだ。

なお、サービスの提供費用は未定であるが、防災行動計画策定とシステムのカスタマイズに伴う費用(実費)と月次のサービス使用料を想定しているという。

ピンポイント・タイムラインの活用イメージ(台風接近時の例)