KDDI、KDDI総合研究所、国立大学法人東京医科歯科大学(以下、東京医科歯科大学)は、東京医科歯科大学のネット依存外来の患者を対象に「スマホ依存」の改善に向けた特定臨床研究(以下、同特定臨床研究)を2021年10月13日から開始すると発表した。

同特定臨床研究では、KDDIとKDDI総合研究所が提供するスマートフォンアプリ「みまもるZO」(以下、同アプリ)を活用。ネット依存外来の患者は中高生の子どもが多く、親子間のコミュニケーションを促進し関係を改善することで、スマホ依存軽減の度合いを検証。

また、KDDIグループは、同特定臨床研究や脳神経科学とAIを活用したスマホ依存の改善・予防に関する共同研究の結果などをもとに、医療現場での利用を想定したスマートフォンアプリの2024年度以降の実用化を目指すとしている。

KDDIとKDDI総合研究所が実施したアンケート調査では、約4人に1人(約25%)がスマートフォンの長時間利用に問題を感じており、その中の約83%が、スマートフォンの利用を改善したいと回答している。

また、同調査では、全体の約74%の人が、睡眠時間の減少、視力の低下、生活習慣の乱れなどの悪影響があると回答しているとのことだ。

スマホ依存は、発達障害、学校などでのストレス、家庭内不和などにより引き起こされることがある。家庭内不和は、親の過剰な干渉、親子間のコミュニケーション不足による信頼感の喪失、保護者の育児ネグレクトなどが原因で、現状は具体的な薬による処方の術がなく、家族支援プログラムといった介入が主な対処となっているという。

■同特定臨床研究の概要

同特定臨床研究は、以下を目的に実施している。

  • スマホ依存の改善に向け、患者への適切な接し方について支援を行う同アプリの有効性および安全性の評価
  • 同アプリにより、患者のスマートフォンによるインターネット使用関連行動の改善評価

同アプリは、患者(子ども)用、保護者用の2つで構成されている。家族ぐるみで適切な対処法を工夫することで症状や問題行動の解決を図る家族療法に基づき、子どものスマートフォン利用状況に応じて保護者用のアプリに適切なタイミングで子どもとのコミュニケーションの取り方を助言するなど、親子間のポジティブなコミュニケーションを促進させるための介入を行うという。

■各者の役割

KDDI・KDDI総合研究所
・同アプリの開発
・収集されたデータに基づく有効性の評価など

東京医科歯科大学
・医療現場における同アプリの有効性および安全性の評価
・倫理審査手続き
・ネット依存外来患者および保護者への研究への協力依頼など

3者は、同共同研究を通じて、誰もが適切にスマートフォンを利用できる安心で豊かなデジタル社会の実現を目指していくとしている。