PayPal Holdings, Inc.(ペイパル)は、業界をリードするあと払い(Buy Now Pay Later)サービス「ペイディ」を提供しているPaidyを3,000億円(約27億米ドル)の現金で買収することを発表した。
ペイパルは、世界第3位のEコマース市場である日本での越境EC事業に加えて、今回の買収により、国内決済市場で機能やサービスを拡充することで存在感をさらに高めていくとしている。
ペイパルの日本事業統括責任者ピーター・ケネバン氏は、以下の通り述べている。
「Paidyは日本市場に合わせたあと払いサービスをいち早く開発し、消費者と加盟店双方に規模の大きな決済プラットフォームを提供することで業界をリードし、急速に成長してきました。
Paidyのブランド力、機能、優秀な人材とペイパルがオンライン決済の分野でこれまで培ってきた専門知識、リソース、グローバル展開を組み合わせることで、私どもにとって戦略的に重要な市場である日本でのビジネス展開をさらに加速させるために強力な基盤を構築することができます。」
Paidyが提供するあと払いサービス「ペイディ」は、日本の消費者がオンラインで商品を購入し、利用金額を翌月にまとめてコンビニエンスストアや銀行振込等で支払うことができるという。
同社は、独自の技術を駆使することで信用スコアを算出し、取引を引き受け、加盟店への支払いを保証。さらに、消費者が快適で安全なオンラインショッピングをできる環境を提供し、加盟店のコンバージョン率、平均注文額、リピート購入の向上に寄与しているとのことだ。
Paidyは「3回あと払い」など革新的なサービスをスピーディに開発することで、現在アカウント数は600万を超え、主要なグローバルブランドやECモールとの戦略的パートナーシップを構築してきた。
さらには、「どこでもペイディ」の提供開始によってペイパル、その他のデジタルウォレットやQR決済との連携を実現し、自社のプラットフォームを超えてオンラインおよび実店舗で利用できる加盟店を拡大しているとのことだ。
Paidyの創業者で代表取締役会長のラッセル・カマー氏は、以下の通りコメントしている。
「ペイパルは20年以上にわたりオンラインショッピングに関わる障壁を取り除いてきました。同社ほど、Paidyが今後ビジネスを一層拡大し、革新を生み続けていくうえで最適なパートナーはいません。
日本市場は私たちの成長を可能にしてくれた活気に満ちた環境であり、これまでの同市場におけるチームの努力と可能性をグローバルリーダーに認められたことを光栄に思います。ペイパルとともに、『お買いものにめんどくさいはいらない』という当社のミッションをさらに推し進めることができると確信しています。」
なお、Paidyの代表取締役社長 兼 CEOの杉江陸氏は、以下の通り述べている。
「Paidyの挑戦はまだ始まったばかりです。このたびペイパルのファミリーに加わることで、Eコマースを超えた『新しいお買い物のスタンダード』となるための取り組みをさらに加速していきます。
ペイパルは『どこでもペイディ』の最初のパートナーであり、今後より多くの価値を創造するために協力し合えることを楽しみにしています。この重要なマイルストーンを可能にしてくださった私どもの加盟店の皆様ならびにお客様に感謝いたします。」
ペイパルによる買収後もPaidyは、「ペイディ」ブランドのもと、これまでと変わることなく現在のビジネスを継続し、ユーザーおよび加盟店に多様な買い物サービスを提供していくという。
なお、カマー氏ならびに杉江氏は引き続きPaidyの組織を率いていくとのことだ。
同案件は、規制当局の承認の取得など、通常の取引完了条件に伴って、2021年第4四半期に完了する予定であるとしている。2022年のnon-GAAP(ノンギャープ)の1株当たり利益に対してわずかな希薄化効果をもたらすと予測されている。
バンク・オブ・アメリカがペイパルの財務アドバイザーを務め、ホワイト&ケースが主要なリーガル・カウンセルを務めている。さらに、ゴールドマン・サックスがPaidyの財務アドバイザーを務め、森・濱田松本法律事務所およびCooley LLPがリーガル・カウンセルを務めているとのことだ。