医学生物学研究所は、慶應義塾大学との共同研究により、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する中和抗体を自動測定装置で測定するキットの開発に成功したことを発表した。
このキットはLSIメディエンス社が製造する国産の自動臨床検査装置STACIA®に搭載可能とし、同キットを研究用試薬として、製品化に向け医学生物学研究所が準備を進めているとのことだ。
同キットは、感染防御能を反映した中和抗体をSTACIA®を用いて、高速かつ多検体測定することが可能になったとし、患者の中和抗体の評価や、現在普及が進んでいるワクチン接種の効果判定などに有用であると考えられるとのことだ。
日本でもワクチン接種が進んでいるものの、接種後の抗体価は時間とともに少しずつ減少するほか、ワクチン接種後に感染した人の抗体価は感染しなかった方の抗体価より低かったといったという報告も出てきているという。
同キットでは少数検体から多数検体まで幅広く測定が可能であり、個々の患者の中和抗体の評価、ワクチン後の抗体価の推移、最適なワクチン接種間隔を調べる研究等、幅広い有用性が考えられるとしている。
今後、ワクチン接種率が上がった後も、実際の感染防御の能力を精確に評価・判定するためにも活用可能であるとし、医学生物学研究所は同キットの2021年9月頃の製品上市に向け、準備を進めているとのことだ。