パーソル総合研究所は、東京五輪開催期間中かつ緊急事態宣言下におけるテレワークの実態・課題を定量的に把握することを目的に、2万人規模の調査を実施し、結果を取りまとめたことを発表した。
新型コロナ下における2万人規模のテレワーク調査の結果の発表は、今回が5回目となるとのことだ。
正社員のテレワーク実施率(全国平均)
東京五輪開催期間中かつ緊急事態宣言下における正社員のテレワーク実施率は、全国平均で27.5%という結果に。2020年4月比(1回目の緊急事態宣言時)では0.4ポイント減となり、20年11月比では2.8ポイントの微増にとどまったとしている。
東京都における正社員のテレワーク実施率
4度目の緊急事態宣言の対象となった東京都に限ってみると、東京都における正社員のテレワーク実施率は47.3%であったという。2020年4月比(1回目の緊急事態宣言時)では1.8ポイント減となり、20年11月比では1.5ポイントの微増となったとのことだ。
雇用形態別のテレワーク実施率(全国平均)
雇用形態別にテレワークの実施率を調査したところ、正社員のテレワーク実施率が27.5%であるのに対して、非正規雇用(パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員、派遣社員)では17.6%と9.9ポイントの差が見られた。また、公務員・団体職員のテレワーク実施率は14%とさらに低い結果となった。
企業規模別(従業員数別)の正社員のテレワーク実施率
企業規模別では、従業員1万人以上の企業における正社員のテレワーク実施率が45.5%であるのに対して、従業員10~100人未満では同15.2%となり、30.3ポイントもの大差がついた。
調査結果の推移をみても、大手企業と中小企業の「テレワーク格差」は縮まらないままであった。中小企業では、未だにテレワークの社内制度やICT整備が進んでいないこと、一人で複数の業務をこなすため出社の必要性が生じやすいことなどが背景にあると考えられるとのことだ。
テレワークの頻度
直近3か月(2021年5月から東京五輪開催期間中)の各期間におけるテレワークの頻度をみると、東京都であっても僅かな上昇にとどまり、ほぼ横ばいの結果となった。
また、全国においても同様の傾向で、実施率・頻度ともに東京五輪開催期間中であってもほとんど変化は見られなかったという。
テレワーク継続希望率
テレワーク実施者にテレワークの継続を希望するかどうか聞いたところ、テレワーク継続希望率は78.6%と約8割にも及んだとのことだ。
テレワーク継続希望率は調査を重ねるたびに上昇し、現在も高止まりしているという。また、コロナ収束後の希望を尋ねると、現在テレワークを行っている者では、1週間に1日以上を希望している者が78.8%となり、現在テレワークを行っていない者では33.0%という結果となった。
テレワークを行っていない理由
テレワークを行っていない理由を調査したところ、「テレワーク制度が整備されてない」や「ICT環境が整備されていない」という回答は、徐々に減少する傾向にあることが判明したとのことだ。
【調査概要】
調査内容:
新型コロナウイルス対策によるテレワークの実態・課題について
調査手法: 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期 :2021年7月30日~8月1日
調査対象者: [テレワーク実態について] 全国の就業者、20~59歳男女、勤務先従業員人数10人以上
正規雇用 n=20,514 非正規雇用 n=4,931 公務員・団体職員 n=364
実施主体 株式会社パーソル総合研究所
<参考>
パーソル総合研究所 :『第五回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査』