楽天・ドイツ通信事業者「1&1社」、モバイルネットワーク構築についてパートナーシップを締結

楽天グループと1&1 AG(以下、1&1社)は、ドイツにおける第4のモバイルネットワーク構築について長期的なパートナーシップを締結することに合意したと発表した。

両社は、革新的なOpen RAN技術に基づく、欧州初となる完全仮想化モバイルネットワークを構築するという。

これまで従来型のモバイルネットワークだと、限定的なネットワークベンダーによって独自に構築されることが一般的であった。

1&1社は、今回楽天の「Rakuten Communications Platform」(以下、RCP)を包括的に採用することにより、完全仮想化モバイルネットワークを、特定のベンダーに縛られることなく構築することが可能になったとのことだ。

これにより、同社はドイツおよび欧州において、モバイル通信の未来に向けた新たな世界標準を築くこととなる。

■楽天が1&1社のモバイルネットワーク構築を支援

楽天は、Open RAN技術の先駆者として、世界初の完全仮想化クラウドネイティブかつOpen RANに基づくモバイルネットワークを構築し、2020年4月に日本国内第4の通信事業者として携帯キャリアサービスの提供を本格的に開始。

今回の合意に基づき、楽天は今後これらの知見を活用し、1&1社のネットワーク構築を支援するという。

具体的には、楽天は、1&1社の既存ネットワーク機器の構築を引き継ぎ、同社のモバイルネットワークのパフォーマンス向上を図るとのことだ。

ネットワーク構築においては、無線アクセスネットワーク、コアネットワーク、クラウド、オペレーションに関する様々なソリューションで構成される「RCP」のスタックと、パートナー企業のエコシステムを活用。

また、1&1社のネットワーク運用を自動化するために専用に開発したオーケストレーションソフトウェアも提供するとしている。

■1&1社が構築するOpen RANベースのネットワークアーキテクチャの特長と今後の予定について

Open RANでは、従来のネットワークアーキテクチャとは対照的に、ソフトウェアとハードウェアを一貫して分離するアプローチを取るという。

「COTS」ハードウェアと呼ばれる商用の汎用コンピューターを使用することで、多様なソフトウェアや無線装置のサプライヤーを組み合わせることが可能。これにより、占有的なテレコムサプライヤーに対して1&1社の高い独立性を確保することができるとのことだ。

すべてのネットワーク機能はクラウド上にあり、ソフトウェアとして稼働。これにより、基地局の複雑な改修やメンテナンスに代わり、ソフトウェアアップデートにより効率的かつコスト効率高く作業を行うことができるという。

コアネットワークでは4つの中央データセンターの設置が計画されている。中央データセンターは、ドイツ国内にある数百の分散型データセンターと接続され、数千の基地局が光ファイバーを通じて接続される。

データセンターと光ファイバーは、1&1社の姉妹会社である1&1 ヴェルサテルが提供するとのことだ。

なお、1&1社は、モバイルネットワークに関する工事を同社の翌四半期より開始する予定であるとしている。

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