臍帯(へその緒)の細胞を活用した細胞医薬を研究開発するヒューマンライフコードは、国の指定難病を含む「早老症」に対する治療法開発に向けて、国立大学法人東京大学(以下、東大医科研)と2021年8月に共同研究を開始することを発表した。
共同研究の背景
早老症は、老化の兆候が実際の年齢よりも早く全身にわたって見られる病気で、約10の疾患が含まれており、その中には「ウェルナー症候群」や「プロジェリア症候群」などの国の指定難病が含まれている。
特にウェルナー症候群は、世界で報告された症例の3分の2が日本人という日本人に多い疾患で、国内の推定患者数は約2,000人。日本人のおよそ5~6万人に1人と推定されている。
しかし、その多くは見過ごされており、現状は十分に把握されていないという。老化の兆候が進むにつれて、白内障、糖尿病、皮膚潰瘍、動脈硬化、サルコペニアおよび悪性腫瘍など高齢者特有の疾患を合併し、生命予後や生活の質(QOL)を大きく損なっているとのことだ。
現在、根本的な治療法はなく、治療薬の開発が望まれているという。
共同研究について
東大医科研の中西真教授らにより、老化細胞を選択的に除去する「GLS1阻害剤」が、加齢現象や老年病、生活習慣病を改善させることを見出し、2021年1月に学術雑誌である「サイエンス誌」に報告されている。
同研究成果を有する東大医科研と、加齢性疾患の一つであるサルコペニアに対する臍帯由来間葉系細胞の研究成果を有するヒューマンライフコードが連携することで、より安全かつ効果的に老化細胞を選択除去し、加齢以上に老化が進む早老症をコントロールできる新たな治療法を、一刻も早く確立することを目指すとしている。
また、同研究を通じ、難病対策のみならず高齢化が進んでいる日本の健康寿命延伸という課題解決につながる抗老化療法の研究モデル構築にも貢献するとのことだ。