インテージヘルスケアは、京浜・京阪神の16~79歳の男女2,563人を対象に、「健康」に関する意識と実態の把握を目的とした自主企画調査「生活健康基礎調査2021(第31回)」を実施。
今回はその中から、最近1年間に経験した「かぜ」やその他の関連症状に関する実態について分析し、結果を発表した。調査結果の詳細は以下。
「かぜ」の経験率は、この2年間で大幅に減少
同調査の過去の結果を見ると「かぜ」を経験した割合は2015年以降、緩やかな減少傾向にあったが、新型コロナウイルス感染症拡大以降は大幅に減少。
2019年の45.5%から2021年は16.4%まで下がり29.1ポイント減少、2019年の経験率を100とすると36.0%となっているという。
「かぜ」の関連症状の経験率も減少
新型コロナウイルス感染症拡大の影響がなかった2019年と最新の2021年の調査結果を比較すると、「かぜ」の他にも関連症状である「せき・たん」「喉の痛み」「悪寒・発熱」「鼻づまり・鼻水」の経験率が軒並み減少しており、これらは同調査で聴取している症状66項目の中でも減少幅が大きい上位の5症状となっているとのことだ。
そして、同社の市販薬販売動向調査のデータでは、市販薬で最も販売金額が減った総合感冒薬が2020年度(4-3月)は前年比64.5%(金額前年差マイナス363億円)、その他の関連薬でも鎮咳去痰剤が同67.1%、口腔用薬(のどスプレータイプなど)が同80.7%などといずれも大幅に減少していることからも、「かぜ」をひく人が減って関連薬市場が縮小したことが明らかになったとしている。
特に20~40歳代の現役層において、「かぜ」の経験率が低下
「かぜ」の経験率は例年、男性の30、40歳代、女性の20、30歳代において高い傾向にあるという。
2019年と2021年を性年代別に比較すると、男性40歳代で57.2%から21.1%、女性30歳代で65.7%から27.6%と、これら経験率の高い年代における減少幅がひときわ大きい結果となった。
「かぜ」の経験率の低下は、新型コロナウイルス感染症の予防対策としてマスクの着用や手洗い、手指の消毒、うがいなどの習慣が定着したことが大きな要因と考えられるという。
年代別に見ると、男女ともに20歳代から40歳代での低下が顕著で、これらの子育て世代が子どもから感染するという機会が減ったことも一因ではないかと同社のコンシューマーヘルスケア・ソリューション部 棚倉佑典氏は考察。
「かぜ」の経験率は、過去10年間のトレンドで見ても減少傾向が続いており、さらに新型コロナウイルス感染症の拡大によって感染症の予防対策が習慣化したことなどから、将来的に増加傾向に転じることは考えにくく、かぜ関連薬市場は引き続き厳しい状況となる見通しであるとのことだ。
一方で、かぜ薬に限らず何らかの市販薬を購入することがあると回答した人のうち、20.8%が今後市販薬の購入金額が増えるとしている。このことからも市販薬市場全体としては伸びる余地が十分にありそうと考察される。
新型コロナウイルス感染症の拡大により人々の生活習慣が変化する中、期待される市販薬の役割の変化にも注目が必要であるとのことだ。
生活健康基礎調査について
「生活健康基礎調査」は、生活者の健康状態・健康意識、市販薬の使用実態を捉え、市販薬と生活者との関わりに関する経年データを整備することを目的としたもので、本年で31回目。なお、このリリースは同調査の中から、調査結果を抜粋して作成されているという。
【調査概要】
調査対象者:16~79歳の男女個人※2018年から対象年齢上限を69歳から79歳に拡大
調査地域:京浜・京阪神
調査方法:郵送調査
サンプル抽出:インテージが保有する郵送調査モニターを対象に、国勢調査による人口構成比に合わせて割当抽出
有効サンプル数:男女計2,563サンプル
調査実施期間:2021年4月9日~2021年5月12日
調査主体:インテージヘルスケア マーケティング・インサイト事業部 コンシューマーヘルスケア・ソリューション部