帝国データバンクは、脱炭素社会に向けた企業への影響について調査を実施し、その結果を公表した。
脱炭素社会の進展や電気自動車の普及、それぞれ1割超の企業でプラスの影響
脱炭素社会の進展や電気自動車(EV)の普及は、今後の自社の事業にどのような影響があるか尋ねたところ、脱炭素社会の進展を「プラスの影響」とした企業は14.8%だったという。
他方、「マイナスの影響」とした企業は16.1%、「影響はない」は35.0%だった。
また、電気自動車(EV)の普及が自社事業に「プラスの影響」があるとした企業は13.4%となり、「マイナスの影響」とした企業は14.9%、「影響はない」は40.7%となった。
「プラスの影響」では、「脱炭素社会の進展」「電気自動車(EV)の普及」ともに「電気・ガス・水道・熱供給」(それぞれ45.0%、40.0%)がトップ。
また、「マイナスの影響」では、ガソリンスタンドなどを含む「専門商品小売」(それぞれ51.7%、49.0%)が最も高かったという。
脱炭素社会の進展や電気自動車(EV)の普及に対して、以下のような意見があげられたとしている。
・「新技術に対し、自社の製品が活用される可能性が大いにあるため、先進的な発展を望んでいる」(非鉄金属卸売、和歌山県)
・「新規参入の機会となる可能性が高く、今後取り組みを進めていきたいと考えている」(プラスチック製品加工、富山県)
・「化石燃料を主とするガス、灯油などを販売する自社にとって不安材料である。社員の雇用を守る上でも他分野の進出は考慮しなければならない」(燃料小売、福島県)
・「自動車のEV化によって航続距離が短くなり、自社の配送距離に対応できるかが課題である」(一般貨物自動車運送、千葉県)
・「EV化が普及した場合、自動車関連企業が軒並み立ち行かない事が想定される。自動車産業は裾野が広いため影響は計り知れない」(電子機器用部分品製造、青森県)
スマートシティ、企業の42.7%が「エネルギー、水、廃棄物分野」に興味・関心
自社がスマートシティに関してどのような分野に興味・関心があるか尋ねたところ、エネルギー、上下水、リサイクルなどを地域内で最適管理するといった「エネルギー、水、廃棄物分野」が42.7%で最高になったという。
以下、災害の情報をリアルタイムで取得・発信し、迅速な避難・復旧を実現するといった「防災分野」(32.8%)が3割台で続き、ICTのデータ活用により、健康寿命を延伸することなどを含む「健康・医療・介護分野」(25.5%)、いつでもどこでも必要な移動・配送サービスを提供することなどの「自動走行・自動配送分野」(25.4%)、キャッシュレス社会を実現し、取引をデジタルで完結させるといった「金融分野」(20.0%)が続いた。
また、「エネルギー、水、廃棄物分野」は、『農・林・水産』(56.9%)や『製造』(50.0%)で5割以上となり、「防災分野」は『建設』(44.1%)が4割超だったとのことだ。
そのほか、「自動走行・自動配送分野」では『運輸・倉庫』(55.9%)、「金融分野」では『金融』(51.7%)がともに5割超となった。
<調査概要>
調査期間:2021年6月17日~30日
調査対象:全国2万3,737社
有効回答企業数:1万1,109社(回答率46.8%)
調査元:帝国データバンク
参照元:景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)