メルカリ、神山まるごと高専とD&I推進における 学校教育パートナーシップを締結

2023年4月開校を目指す私立高等専門学校「神山まるごと高専(仮称・設置構想中)」(以下、神山まるごと高専)と、フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリは、「ダイバーシティー&インクルージョン(D&I)推進における学校教育パートナーシップ」を締結すると発表した。

同パートナーシップにより、神山まるごと高専は、メルカリのD&I推進の知見を学校教育に取り入れ、神山まるごと高専が掲げる「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育成するカリキュラムを推進するとのことだ。

また、同パートナーシップにあたりメルカリは、神山まるごと高専に対して、企業版ふるさと納税を活用した1億円の寄付も実行したという。

メルカリ、神山まるごと高専とD&I推進における 学校教育パートナーシップを締結

■神山まるごと高専とメルカリが進めるD&I推進における学校教育パートナーシップ

今回、神山まるごと高専とメルカリ両社は同パートナーシップの締結を通して、メルカリのD&Iの知見を、神山まるごと高専の学校教育に取り入れるという。具体的な実施予定の取り組みは次の通り。

<実施予定の取り組み>
・メルカリのノウハウを活用した、高専関係者向けのD&Iに関するワークショップ・イベントの開催
・無意識バイアスワークショップの共同開催
・開校後のD&I推進に関する特別授業の共同設計、及び社員講師派遣
・これらを実現させるために、定期的な意見交換会の実施

なお、今後の協議に基づいて変更される可能性があるとしている。

■パートナーシップ締結の背景

イノベーション創出、競争力のある組織作りにおいて、D&I推進は必要であるという。その一方で日本は、D&I推進において諸外国と比較して遅れをとっており、例えば、2021年世界経済フォーラムが発表した、ジェンダーギャップ指数においては、156か国中120位と先進諸国においても最低水準の位置にある。

特に教育の現場においては、中学生の時点で、進路に理系を選択する割合は、男子学生の40.7%に比べ、女子学生は27.1%程度と少ない調査結果が出ていたり、大学・大学院などの高等教育機関において、理学・工学専攻において女子学生の割合が低く、学問分野における偏りが生じていたりするなど、ダイバーシティー不均衡の再生産が行われているとのことだ。

今回、同パートナーシップを通して、神山まるごと高専は、これからの社会をつくる学生の育成に不可欠であるD&Iの視点を学校教育プログラムに取り入れるとしている。

メルカリはその取り組みを、自社がこれまで培ったノウハウをもとに支援。同パートナーシップをもとに、国内のD&I浸透を強く推進することを目指すという。

■メルカリが取り組むD&I推進について

メルカリは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションを掲げ、個々の多様な経験や視点を尊重した世界的に競争力のあるチームづくりを目指し、D&Iの推進に注力してきた。

また、女性やLGBT+コミュニティの人などIT・STEM分野のマイノリティ(少数派)を対象としたソフトウェアエンジニア育成プログラムを実施したり、社内向けの「無意識(アンコンシャス)バイアス ワークショップ」の研修資料を無償公開するなど、社会課題解決のためのアクションも積極的に行っているとのことだ。

今回、メルカリは神山まるごと高専とのパートナーシップを通じ、メルカリが培ってきたD&I推進のノウハウを教育現場に還元していくという。

また、IT・STEM業界におけるジェンダーギャップ課題に取り組むだけでなく、バックグラウンドに関わらず個々人のポテンシャルが発揮され、多彩で多様なキャリアを追求できる環境づくりという課題に対し、企業・地域・教育機関が連携して取り組むモデルケースを構築していくとしている。

■神山まるごと高専とD&I教育

2023年4月の開校を構想する神山まるごと高専では、「テクノロジー×デザインで、人間の未来を作る学校」をコンセプトとし、「モノをつくる力で、コトを起こす人」の育成を目標に掲げているという。

神山まるごと高専は、これからの時代の起業家には、D&Iの知識や認識が必要な素養であると捉えており、カリキュラム構想である「神山サークル」内においては、「隣人と生きる」というカテゴリーを据え、多様な人々との関わりテーマにした、教育カリキュラムを構想しているとのことだ。

これらの構想の一方、神山まるごと高専には、D&I推進に関する知見・ノウハウが足らないことも事実。

今回、メルカリが有する、D&Iに関する先進的な実戦経験や知見を借りながら、教育カリキュラムの充実に取り組むという。

神山まるごと高専としてD&Iを取り入れた教育を行った結果、それが社会に対してのメッセージとなり、15歳の中学生が進路選択において多様なキャリア選択を行えるような視点の広がりにつながることを期待しているとのことだ。

■企業版ふるさと納税を活用した、日本初の学校づくり

同パートナーシップにあたりメルカリは、神山まるごと高専に対して、企業版ふるさと納税を活用した1億円の寄付も実施。

企業版ふるさと納税は、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税が最大90%税額控除される仕組み。企業版ふるさと納税を活用し、学校が設立される事例は神山まるごと高専が初めてとなるとのことだ。

今回の企業版ふるさと納税があてがわれる設立経費の項目は以下の通り。

・校舎予定の神山中学校の改築費用
・教具・校具の購入費用
・図書の購入費用
・開設後数年間の運転費用
・学生の奨学金

神山まるごと高専の学校設立にあたり、約21億円の設立資金準備が必要です。これらは、個人のふるさと納税の寄付や今回の企業版ふるさと納税の寄付金および企業寄付などを元に準備が進められるという。

神山まるごと高専とメルカリは、学校教育パートナーシップを通じ、誰もが多様性を受け入れ、認め合う社会の実現に貢献していくとしている。

モバイルバージョンを終了