トヨタ・モビリティ基金、交通事故の削減へ 豊田市が進める「ジコゼロ大作戦」にて協働を開始

一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation:以下、TMF)は、豊田市、トヨタ自動車、公益財団法人豊田都市交通研究所とともに、“豊田市つながる社会実証推進協議会”の取組みとして、交通死亡事故の削減を目指す官民連携事業「ジコゼロ大作戦」を開始すると発表した。

豊田市では、交通事故発生件数は年々減少傾向にあるものの、昨年および一昨年は、交通事故死者数が、名古屋市を除く愛知県下で最多(最下位)という課題を抱えているという。

今回の取組みは、車とインフラの通信技術を利用した安全運転支援の仕組みや車両データを活用した道路環境整備・市民への啓発等を行うもの。

同事業を通じて豊田市における死亡事故削減を実現するとともに、他地域でも応用可能な「官民連携による交通安全の取り組みモデル」を構築し、愛知県をはじめとした全国にその成果を展開していくとのことだ。

【期間】

2021年7月30日~2022年3月31日

【主な取組み】

1.インフラ協調型危険回避システム【ITSスマートポール(SP)】

支柱・電柱等に設置したカメラやセンサーで車の接近を感知、衝突危険がある車や歩行者に対して注意喚起を行って、事故を未然に回避するシステム。豊田市内の出会い頭事故の危険がある交差点に設置予定。

システムのイメージ

2.住民ヒヤリハットデータベース

小学生および保護者から身近な危険箇所の情報を収集し、その結果をデータベース化して公開、児童・住民に日頃から注意をしてもらうという。

また、交通事故の発生データ等と組み合わせることで危険度を算定し、対策地点の優先順位付けや対策の早期実施に役立てる。

3.ドライブレコーダー情報を活用した高齢者安全運転診断サービス

高齢者の自家用車に設置したドライブレコーダーデータを活用し、運転者の挙動を把握・分析した上で、安全運転のアドバイスを提供。

また、高齢者の生活環境や交通事故に関するデータと合わせて分析することで、高齢者の事故防止につなげる。

映像解析等により、運転の見直しにつながる各種アドバイスを提供

4.車両プローブデータの活用

走行車両から取得したプローブデータや事故・ヒヤリハットデータ等の分析・活用により、危険箇所の特定、原因分析による効果的な対策の実施と効果検証を行う。

【左】急減速を始めとする車の挙動データからの危険度分析 【右】一時停止場所の対策効果検証

交通安全の実現には、ドライバーや歩行者という「人」に対する啓発活動、安全な「車」の開発、信号設置や道路整備など「交通環境」整備、の三要素が一体となった取り組みが重要であるという。

TMFでは、啓発ツールの充実や関係機関と連携した「人」への啓発活動に加え、既存技術の組み合わせ、新たな技術や視点の導入を通じ、「交通事故死傷者ゼロ社会」の実現に向けて取組みを推進していくとしている。

トヨタ自動車は創業以来、利用客、ビジネスパートナー、従業員、そして地域社会等、全てのステークホルダーを尊重しながら、自動車を通じた豊かな社会づくりを目指して事業活動を行なっているという。

そして、より公益的な活動を行うことを目的に、2014年8月、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(TMF)を設立している。

TMFは、誰もが自由に移動できるモビリティ社会の実現に向け、幅広いプロジェクトを通じて世界中の移動課題の解決に取り組んでいる。

今後も、トヨタグループが事業活動を通じて培った技術やノウハウを活用し、多様なパートナーとの協働を通して、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも沿った活動を進めながら、人々が心豊かに暮らせる社会の実現に向けて貢献していきたいと考えているとのことだ。

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