長野県と、日産自動車、長野日産自動車、松本日産自動車、日産プリンス長野販売および日産プリンス松本販売の6者は、30日、「しあわせ信州の実現およびSDGsの達成に向けた包括連携協定」を締結したと発表した。
同協定は、長野県と日産グループが、相互に連携することにより、地域課題に迅速かつ適切に対応し、電気自動車(以下、EV)の積極的な活用を通じて、県民サービスの更なる向上を図り、活力ある個性豊かな地域社会の形成と発展を図ることを目的に締結された。
また、長野県内において台風や地震災害等が発生した際に、県内の避難所等において、日産の販売会社である長野日産自動車、松本日産自動車、日産プリンス長野販売、日産プリンス松本販売より貸与されるEV「日産リーフ」を電力源として活用することで県民の安全確保等に貢献するという災害時の連携内容も含んでいるとのことだ。
長野県は、県の総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」をSDGsの行動計画に位置づけ、平成30年6月には「SDGs未来都市」に選定されている。
「誰一人取り残さない」というSDGsの理念のもと、持続可能な地域社会の実現に向けて積極的にSDGsを推進。また、令和元年12月に「気候非常事態」を宣言し、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロを決意。
それらの目的達成のため、企業のSDGs活用を支援する「SDGs推進企業登録制度」や、県民が環境保全を学ぶための「信州環境カレッジ」の開催をはじめとした様々な施策を実施しているとのことだ。
一方、日産自動車は、日本が抱える環境負荷低減や災害対策等の課題を解決するため、2018年5月に日本電動化アクション『ブルー・スイッチ』を発表し、その活動を牽引するリーダーとして、全国の自治体や企業と協力して、EVの普及を通じた社会の変革に積極的に取り組んでいる。
また、『ブルー・スイッチ』活動の推進を通じて、温暖化対策、防災・減災、エネルギーマネジメント、観光、過疎化などの地域課題の解決に取り組み、SDGsの達成に貢献。
この日産自動車が推進する『ブルー・スイッチ』活動、そして、長野県の目指すしあわせ信州の実現およびSDGsの推進に共感し、目指す姿を共有しともにその目的達成のために行動することに合意し、今回同協定を締結することとなったという。
「しあわせ信州の実現およびSDGsの達成に向けた包括連携協定」の概要および取り組み内容は、以下の通り。
【協定項目および協定に基づいて実施する事業例】
(1)2050ゼロカーボンの実現
EV普及のための活用策を検討
●県公用車として導入したEVの活用
●自然公園等でのEV活用の推進の検討
(2)分散型エネルギー源の確保
”蓄電池としてのEV”の普及促進
●信州屋根ソーラーポテンシャルマップの利用促進とあわせた太陽光+蓄電池としてのEVおよびV2Hの紹介
●県内充電インフラの最適配置に向けた検討
●「エコ住宅×EV」のモデル事業の検討
(3)自然環境を活かした新たなライフスタイルの実現
自然公園やリゾート地でEVを電源として活用するなど、新たな働き方や豊かなライフスタイルの実現へ寄与
●市町村や地域の事業者によるリゾートテレワークのモデル体験会を検討
●移住体験者向けにEV貸し出し利用を検討
(4)次世代の育成・学び
環境教育活動の実施
●環境教育「日産わくわくエコスクール」の実施
●信州環境カレッジ等で環境に関する講座の実施
●EVの整備人材育成に関する技術的支援
●地域のイベントや行事への共同出展などEVへの理解促進
(5)防災および災害時の支援
災害時における県内避難所等の非常用電源としてのEV活用
●発災時に販社および市町村と連携して避難所等の非常用電源として配置
●市町村での避難訓練や防災訓練において、EVからの電力供給デモを実施
(6)その他、同協定の目的を達成するために必要な事項に関すること
長野県では、すでに公用車として、環境に優しいEV「日産リーフ」3台を導入しており、今後も継続的に公用車のEV化を計画している。
また、県施設へのEVの急速充電器の設置を検討するなど、EV普及と活用促進を通して、2050ゼロカーボンに向けた取り組みを進めていくとしている。
日産自動車は、人々の生活を豊かに、を目的に、「ニッサン インテリジェント モビリティ」を推進し、独自性にあふれ、革新的なクルマやサービスをお届けすると共に、「ゼロ・エミッション(排出ガスゼロ)」「ゼロ・フェイタリティ(交通事故による死亡・重傷者数ゼロ)」に取り組んでいる。
また、政府の推進する「2050年までに、温室効果ガスの排出をゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に寄与すべく、2030年代早期より、主要市場で投入する新型車をすべてEVなどの電動車両とすることを目指し、電動化と生産技術革新を推進しながら、新たな目標に向けて取り組んでいるという。
そして、『ブルー・スイッチ』の推進に加え、EVというクルマの販売にとどまらず、EVがもたらす豊かな生活の実現、そしてEVが成し得る社会変革のために、EVの生み出す新たな価値を世界に発信し続け、よりよい社会づくりへの貢献を目指しているとのことだ。
今回の長野県との「包括連携協定」も、日産の『ブルー・スイッチ』の活動に基づくものであり、日産自動車が締結した自治体・企業との連携協定としては、全国で103件目となる。
また、EVを活用したエネルギーマネジメントや観光などを含む、『ブルー・スイッチ』活動全体の取り組みとしては133件目となるという。
長野県と日産自動車はこの協定締結を契機に、今後もEVの積極的な活用などによるゼロカーボンや災害への対策をはじめとする様々な取り組みを推進していくとしている。
そして、しあわせ信州の実現とSDGsの達成という大きな目標に向けて、ともに行動しそれぞれの強みを活かしながら、地域の未来を創っていくとのことだ。