産経新聞・アンカーズ、オンライン試験のなりすまし防止のシステムを開発

産業経済新聞社(以下、産経新聞社)とITソリューション事業のアンカーズは、コロナ禍で増加するオンラインによる各種受験(受講等を含む)や免許取得の際の大きな問題の一つである本人を装う「なりますし(替え玉)」を防止するシステムを開発したと発表した。

デジタル化が進む中、以前から課題となり、その解決策が何度も検討されてきたという。

しかし、コストと手間がかかり、その信頼性を備えて課題解決に至ることはなかったという。また、個人情報保護の観点から、本人認証の際の事前設定や利用の度に行う認証の煩わしさもITリテラシーの低いユーザーには負担となり、これも大きな問題となっていたとのことだ。

今回の新サービスはこれら問題を全て解決し、高いセキュリティレベルを実現する画期的サービスであるとしている。

1.同サービスの内容

同サービスは、アンカーズが研究・開発した国際特許取得技術(スマホ内部で本人認証の全てを完結させる「バックグラウンド認証」)と、産経新聞社がある政令指定都市の介護職入門的研修動画を制作・開発する中、そのオンライン受験(受講)用のサービスを組み合わせたものであるとのことだ。

受講者は、前述した世界初の認証技術「バックグラウンド認証」により、正規受講者のみオンラインで参加可能となる。

利用開始から終了までの間に随時・適宜に本人認証が行われため、第三者による「なりすまし(替え玉)」受講が不可能となるとのことだ。

受講者は、自身所有のスマホに同サービスアプリをインストールして申し込み申請を行うだけで、その後は所有スマホ内部に個人情報を保存し、認証も内部で行うという。このためインターネット経由でサーバー等に個人情報を預ける必要がなく、個人情報保護の心配もないとのことだ。

また、高額なシステムの開発や構築、その運用、管理の手間もなくなるとしている。それらコスト増の懸念も軽減でき、結果として受講者もそのメリットが還元される。

2.同提携の背景

近年、欧州から起こったGDPR(EU一般データ保護規則)によって個人情報保護については、ますます厳しい姿勢が求められ、日本企業も本格的な取り組みを急いでいるという。

一方、個人情報保護のため本人認証実施のサービスに制限がかかり、それは管理システムの負荷となって多くの企業でコストに見合う開発が困難になっている。最終的に利用者(消費者)に多大な負担がかかり、DXを進める上でも大きな障害となっているとのことだ。

コスト優先の短期開発では、不正アクセスや情報漏えいにつながるリスクもあり、これら両立が難しく、解決には全く新しい発想が必要であるという。こうした問題が顕在化する中、産経新聞社はアンカーズの「DZ Security」という製品の認証技術である「バックグラウンド認証」に着目し、これをベースにした同サービスの開発に成功。

3.同提携によって可能となるオンライン受験(受講)の標準化

これまでは個人情報保護と本人認証の問題が各々個別に取り扱われ、別システムにより統合管理されていたとのことだ。

異なる3つのシステムを個別に開発すれば、単純に考えればコストは3倍になる。しかも、これらを統合するにはSIerと言われるシステムインテグレーターが必須となる。SIerは、個別のシステムを集めて1つにまとめ、後の運用管理などにも関わることになり、さらにコスト増を招きかねないとのことだ。

各企業はこれを前提にシステム構築の予算を組み、計画を立てきたという。セキュリティ最優先は当然としても、強固なセキュリティ提供が同時にコスト高となり、必須であっても利益は生まない悪循環を解決するのが非常に困難であるとのことだ。

このため、セキュリティ関連のシステム開発には積極的な投資がしづらい分野となっている。

しかし、同サービスはこれらの問題を一挙に解決するという。受講者はアプリをインストールするだけ。セキュリティにかかるコストを抑え、受講者にも面倒な設定や認証の手間(パスワード記憶や認証行為)をなくし、「なりすまし」される心配のない受験(受講)をオンライン上で行えるとのことだ。

産経新聞社は、新サービスの提供で利用者にも企業にも負担をかけない、最新のセキュリティシステムを提供し、全く新しい受験(受講)セキュリティのサービスモデルを構築。利用者と提供側の双方に共通する、時間、費用、品質の課題を解決していくとしている。

産経新聞社とアンカーズは同サービスの提供を通じ、国内から海外へも同システムを提供し、1人でも多くの人が安心して受験(受講)できる機会と積極的な資格取得につながるよう、引き続き開発を続けていくとしている。

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