Googleは、6月25日にChromeにおけるサードパーティCookieのサポートを段階的に廃止する計画のスケジュールを含む、「プライバシーサンドボックス」の最新情報を公開したと発表した。
取り組みを進めていく中で、この計画を正しく実施するためには、デジタル広告のエコシステム全体でさらに時間が必要なことがわかってきたという。
「プライバシーサンドボックス」は、利用者のプライバシーに配慮しつつ、誰もがアクセスできる自由で開かれたウェブ環境を維持できるよう、デジタルビジネスを構築するツールを提供する技術の開発を目指すもの。
これを実現するには、エコシステムに携わるコミュニティが一丸となり、ウェブのプライバシーを根本的に強化する開かれた基準をもち、データがどのように利用されるかについての透明性を高め、管理権限をユーザーが持つ必要があると考えているとのことだ。
そのためには、適切な解決策に関する開かれた議論、規制当局との継続的な連携、パブリッシャーや広告業界がサービスを移行するために十分な時間を確保することが必要であるという。
これは自由に利用できるコンテンツを提供する多くのパブリッシャーのビジネスモデルを危険にさらさないために大切なことであるという。また、プライバシー保護の技術を開発することで、業界としてCookieが他のトラッキング手法に置き換えられないようにし、フィンガープリンティングなどの隠密性の高い技術の台頭を阻止することができると考えているとのことだ。
Googleは今後もウェブコミュニティと協力して、広告測定、関連性の高い広告とコンテンツの配信、不正検出など、主要な分野でより独自のアプローチを開発する予定であるとしている。
現在、Chromeなどでは30を超える提案を提供しており、そのうち4つの提案がオリジントライアルとして利用可能。
特にChromeでは、開発者コミュニティがそれらの採用を開始するために、2022年後半までに主要な技術を展開することを目指しているとのことだ。
その後、英国のCompetition and Markets Authority(CMA)との調整に従い、Googleが発表した方針に即して、Chromeは2023年半ばから2023年後半までの3か月間でサードパーティCookieを段階的に廃止するとしている。
各提案は、広範な議論とテスト期間を含む、厳格かつ複数段階に渡る公開プロセスを経て進む。これは、他のオープンAPIやウェブ技術の開発と変わらないとのことだ。
- 議論:GitHubやW3Cグループなどのフォーラムで提案された新しい技術とプロトタイプについて議論。
- テスト:多数のオリジントライアルを通じてChromeで厳密にテストし、全プロセスを通して透明性を保ち、フィードバックを得る。例えば、FLoCの最初のバージョンのオリジントライアルでは、ウェブコミュニティから多くの意見が寄せられたという。
さらなるテストに向けて、オリジントライアルを今後数週間で終了し、意見を反映させるとのことだ。 - 採用準備の完了:開発が完了すると、テストを通過した技術を大規模に使用する準備が整う。これらの技術はChromeで公開され、ウェブ全体で利用できるようになるとしている。
この公開プロセスの後、CMAとの調整に従い、ChromeでサードパーティCookieのサポートを2つのステージに分けて廃止する予定。
- ステージ1(2022年後半に開始):テストが完了し、ChromeでAPIがリリースされた後に、ステージ1の開始を発表。ステージ1では、広告主やパブリッシャーが自社サービスに移行する時間を確保できるという。
このステージには9か月間を想定し、導入状況やフィードバックを慎重に確認した上で、ステージ2に移行する予定であるとのことだ。 - ステージ2(2023年半ばに開始):2023年後半の3か月間で、ChromeはサードパーティCookieサポートを段階的に廃止。
近日中に、privacysandbox.comでより詳細なスケジュールを公開。このスケジュールは定期的に更新し、より明確な情報を提供するので、開発者やパブリッシャーはテストや移行のスケジュールを計画できる。
サードパーティCookieの代替技術の開発に加え、フィンガープリンティングなどの隠密性の高い技術に対応するために、プライバシーサンドボックスのもうひとつの重要な課題にも継続的に取り組んでいる。
その一例として、先月には、User-Agent文字列の情報削減に関する最新情報を公開。これは、このデータを使用してウェブ全体でユーザーのフィンガープリンティングとトラッキングが行われる可能性を減少させることを目的としたプロジェクトであるとしている。
Googleは、プライバシーサンドボックスにより、あらゆる人々に最も強力なプライバシー保護を提供できると考えているという。
エコシステムがウェブ全体で個人をトラッキングすることなくビジネスを支援できるようにすることで、コンテンツへの自由なアクセスを継続できる。
このミッションの重要性を踏まえ、時間をかけて新しいテクノロジーを評価し、フィードバックを繰り返し行うことでプライバシーとパフォーマンスの両方の目標を満たせるよう、時間をかけて取り組んでいくとのことだ。