楽天モバイル、日本電気(以下、NEC)、Intel Corporation(以下、インテル)は、コンテナ化したStand Alone方式(以下、SA)の5Gコアネットワーク(以下、5GC)の性能試験において、User Plane Function(以下、UPF)の性能が業界最高水準のスループット(データ処理速度)である640Gbpsを達成したと発表した。

この5GCは、楽天モバイルとNECが共同開発。「Rakuten Communications Platform」(以下、RCP)上で稼働しているという。

コンテナ化されたUPFの性能向上は、5GCの展開において重要な課題であるという。一般的な4Gネットワークではコントロールプレーン(以下、C-Plane)とユーザプレーン(以下、U-Plane)は統合されている。

5Gネットワークではこれを完全に分離することで、拡張性の高いUPFが実現できるとのことだ。これにより、プライベートネットワーク、エッジコンピューティング、ハイブリッドクラウドなど、さまざまな導入形態の展開が見込めるという。

楽天モバイルは、4G LTEネットワークにおいて既にC-Plane とU-Plane を分離させたCUPS(Control and User Plane Separated)を導入するなど、ネットワークの立ち上げ当初から5Gアーキテクチャーを採用している。

今回、コンテナ化されたSA方式5GCにおけるUPFの1サーバーあたりのスループット640Gbpsは、東京都内の研究施設において測定されたもの。この結果は、今後の商用ネットワークにおける性能向上にもつながることが期待されるとのことだ。

また、今回のコンテナ化されたUPFのスループット高速化は、楽天モバイル、NEC、インテルによる専門性の高い協力関係による成果であるとしている。

NECは、通信とITに関する高度な専門性を用いて、通信業界における最先端の製品開発を行い、CPUの使用率とメモリの高速アクセスを最大化。

さらに、インテルのAIアクセラレーション機能を備えた第3世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサーや、DDP(Dynamic Device Personalization)機能を備えたデュアルポート100Gbインテル・イーサネット・ネットワーク・アダプターE810-2CQDA2など、最新の高性能インフラストラクチャーが活用されている。

楽天モバイルは、「RCP」上でコンテナを導入した環境を構築し、高速処理を行うことにより、「RCP」が持つ全自動化を活かしながら、トラフィックの特性に応じてエッジデータセンターからセントラルデータセンターまでUPFを俊敏かつ柔軟に展開することを可能にしているとのことだ。

これまで楽天モバイルとNECは、日本国内の楽天モバイルのモバイルネットワークでの活用および「RCP」での提供を目的に、コンテナを導入したSA方式の5GCの共同開発に関する2020年6月の合意をはじめ、無線アクセスネットワーク(RAN)の領域においても国内モバイルネットワーク向けに5G用基地局装置の無線機(Radio Unit)の共同開発を行ってきた。

2021年5月には両社の協業範囲を拡大し、O-RAN ALLIANCEが定めるO-RANフロントホールインタフェース仕様に準拠したOpen RANシステムの提供(4G および5G無線機と、システム構築のエンジニアリングサービス)をグローバルで提供を開始し、「RCP」のグローバル展開の加速に向けて取り組んでいるという。

楽天モバイル、NEC、インテルは、オープンで完全にクラウドネイティブでコンテナ化されたSA方式5GCの共同開発を通じて、世界規模でモバイル通信技術の革新を推進し、日本および世界中のユーザーに高品質な5Gネットワーク技術を提供することを目指していくとしている。