凸版印刷とENEOSは、エネルギーの低炭素化と循環型社会の実現に向け、古紙を原料としたバイオエタノール事業の立上げについて共同で検討する事に合意し、協議を開始した。
同事業では、通常の再生紙だけでなく、リサイクルが難しいとされる防水加工された紙やノンカーボン紙などの難再生古紙も、凸版印刷がバイオエタノールの原料として最適化し使用するという。
また、従来のバイオエタノール製造では、全製造工程が完了した際に全ての生成物を製造窯から取り出し新たに原料を投入していたとのことだ。
同事業で活用する、ENEOSが開発したエタノール連続生産プロセスは、製造工程で原料をつぎ足しながらエタノールを抽出し、連続的に製造することで製造効率を上げることができ、高いコスト競争力の実現を可能にするとしている。
バイオエタノールを原料とするバイオ燃料は、植物等を原料として製造されるため、原料製造から燃料燃焼までのライフサイクルアセスメント(LCA)でのCO2排出量が少ない燃料。
一方、サトウキビやコーンなどの可食原料を由来とするバイオエタノール製造に関しては、食糧との競合や調達が天候に左右されるといった課題があるとのことだ。
古紙などの非可食セルロース由来のバイオエタノールを原料とすることで、CO2排出量削減効果の向上に加え、食糧との競合回避や安定的な原料確保が期待できるとしている。
同事業では、小規模での検証テストによるデータ等を基に採算性や環境性能の評価を実施し、2027年以降の事業化を目指す。
将来的には自治体からの古紙回収も検討。
また、製造したバイオエタノールは、バイオガソリン、バイオジェット燃料、バイオケミカルの原料として販売することを検討していくとしている。
両社で古紙を原料としたバイオエタノールの製造に取り組むことで、低炭素・循環型社会の実現に貢献する方針を示している。