パナソニックは、SQUEEZEと、非接触・非対面・省人化運営と高品質な接客の両立によるホテル経営のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するため、同社が提供する接客を伴う業務の最適化を促進する遠隔コミュニケーションシステム「AttendStation™(アテンドステーション)」と、電力モニタリングと遠隔コントロールシステム「AiSEG2(アイセグツー)」を用いた共同実証実験をSQUEEZEが運営する次世代型スマートホテル「Minn 蒲田」にて開始すると発表した。
ホテル事業の収益は、固定費が高いにも関わらず、売上が環境変化により影響を大きく受ける財務構造であり、その中でも人件費は全体の支出における約40%を占めているという。
固定費を極力効率化した運営は、今後持続可能な事業を実現する上でも大きな課題であるとのことだ。
同社は、ホテル業界のDXを推進し、省人運営実績のあるSQUEEZEと実証実験を行うことで、すでにSQUEEZEが実現している無人・省人施設において有人運営と同水準の接遇サービスによりホスピタリティを維持・向上させ、さらに客室単価を上げ、リピート率の向上を実現できるのかを検証する。
同実証実験を通じてよい顧客体験の創出、ホテルの原価管理の精緻化をもたらすサービス、ソリューションの創出をSQUEEZEと共に目指すとのことだ。
今回、遠隔コミュニケーションシステム「AttendStation™」は、ユーザーから離れた場所にいるフロントコンシェルジュがディスプレイ上のアバターを介し、ユーザーからの問い合わせ対応などの接遇を実施。
アバターは操作しているフロントコンシェルジュの顔の動きと声に連動し、状況に応じてお辞儀をするなど、しぐさを選択することもできるため、ユーザーと非接触・非対面ながらも表情豊かで対面に近い案内が可能となる。
また、あらかじめ用意している補足説明資料やWEBサイトを対話内容に合わせてスタッフが表示することも可能。ゲストの満足度を損ねることなく、フロント人員の人件費約75%削減を目指すとしている。
電力モニタリングと遠隔コントロールについては、IoTやAIなど最先端の技術と、配線器具や開閉センサーなどの技術を融合した「HOME IoT」の中核機器「AiSEG2」を活用。
これまでホテルにおける水光熱費の管理は、部屋別ではなく棟全体での管理が一般的であったが、今回の実証実験では、住宅分野で展開してきた「AiSEG2」を住空間同様のホテル居住空間へ活用することで部屋ごとの電気代を緻密に把握し、部屋ごとの採算の見える化による原価管理を推進。
また「AiSEG2」をSQUEEZEの無人チェックインシステムと連携させることで、ゲストのチェックイン・アウトに連動して、空調・照明のスイッチをオン・オフさせ、部屋ごとの電気代約10%削減を目指すという。
将来的にはチェックアウトのタイミングの把握や、電力使用データによる滞在状態、電気機器の使用有無を確認し、水光熱費の低減や適切な清掃の最適リソース配分を行うなど、さらなるコスト削減にも取り組むとしている。
同社は今回の実証実験により、機器を通じてホテル経営のDX化推進や、ホテルのサービス改善、ユーザー満足度向上、環境負荷を極力減らしてSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」に配慮したホテル運営への貢献を目指していくとのことだ。