トヨタは、労務問題の再発防止に向けた取り組みについて発表した。
トヨタでは、2017年に若手社員が亡くなるという痛ましい事案が発生。その後、2019年に豊田労働基準監督署による労働災害であるとの判断の中で、当時の上司によるパワーハラスメントを伴う、行き過ぎた指導があったことが認められたという。
同社としては、大切な社員の尊い命が失われた事実を真摯に受け止め、このような痛ましい事案を再び起こさないよう、再発防止に向けた取り組みを検討、実施してきたとのことだ。
また同社は、今回知らせる再発防止策を推進し、パワーハラスメントを断固として許さないという姿勢のもと、社員一人ひとりが周囲に関心を持ち、自分以外の誰かのために行動できる「YOUの視点」を持った人財づくりを進め、一人ひとりの社員が安心して働ける、風通しの良い職場風土を築くよう、努力を続けていくとしている。
再発防止に向けた取り組み
「風通しのよい職場風土づくり」、「パワーハラスメント行為を行わないマネジメント」、「メンタルヘルス不調者に対する適切な対応」等の施策について取り組みを進め、社内から、パワーハラスメント行為の撲滅を目指すとのことだ。
声を出しやすい職場づくりに向けた取り組み
令和2年4月に、これまでの相談窓口を「スピークアップ相談窓口」に統合し、匿名での通報、職場の同僚や家族など第三者からの相談も受け付けているほか、若手社員に対する毎月のアンケートの実施、職場の身近な相談先として、職場相談員の設置を進めている。こうした施策を通じ、従業員の困り事や、職場の課題を早期に発見・解決していくとのことだ。
パワーハラスメントに対する厳格な姿勢を就業規則に反映
令和2年4月に就業規則を改定し、パワーハラスメントの禁止、およびパワーハラスメントを行った際の懲罰規定について、より明確に記載。
異動時における評価情報の引継ぎの強化
令和2年10月に、従業員の評価や、ポスト長の職場マネジメントに関するアンケート結果などの個人情報を一元管理するシステムを導入。
これによって、過去の評価や人事情報を確認することが可能となり、今まで以上に本人の適性を踏まえた業務アサインを行い、過去から一貫性のある育成を実施していくという。
マネジメントに対するパワーハラスメントの意識啓発
令和2年4月より、すべての幹部職・基幹職を対象に、パワーハラスメント防止の教育を再度実施。また、評価基準を見直し、今まで以上に「人間力」のある人材、周囲へ好影響を与え信頼される力を持つ人を評価している。
加えて、役員、幹部職・基幹職を対象に、360度アンケートを導入。対象者の強み・弱みに関する周囲の声を集め、本人にフィードバックすることで、自らの行動を振り返り、改善につなげていくとしている。
休務者の職場復職プロセスの見直し
令和2年5月より、休務者の状況把握、復職可否判断、職場復帰後の職場環境面を含むケアについて、産業医、人事労務スタッフ・職場がこれまで以上に緊密に連携し、本人のコメントや主治医の意見も踏まえ、円滑な職場復帰をサポートする体制を構築してきた。
また、産業医が、休務者のサポートや職場復帰後のフォローを適切に行うため、令和2年12月より、精神科専門医が常駐する相談センターを開設。
対面又はオンラインによって、メンタル不調者や上司との面談を行い、その結果に基づいて、産業医に対し、専門的立場からのアドバイスを提供している。
今後も、体制改善に向けて努力していくとのことだ。