P&G、LGBTQ+への「アライ」(理解者・支援者)育成研修を開発 「アライ」の言葉の認知率は7.7%と低いが、53.8%が考えに共感

P&Gジャパン(以下、P&G)は、LGBTQ+への「アライ」(理解者・支援者)の輪を広げることを目的とした社外向け研修プログラム「アライ育成研修」を開発し、5 月末より企業や団体など社外への無償提供を開始すると発表した。

人材はP&Gにとって最も重要な経営資源であるとしている。そのため、P&Gでは「平等な機会とインクルーシブな世界の実現(Equality & Inclusion =E&I)」を経営戦略の一環として掲げ、社員一人一人が等しく機会を得て能力を最大限に発揮できる組織づくりに 30 年近くにわたって取り組んできたとのことだ。

また、自社のみならず、社外に向けた啓発活動にも注力しており、2016年には、社外啓発組織「P&Gダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト」を発足し、従来は門外不出だった独自開発の管理職向け「インクルージョン研修プログラム」の無償提供を軸に、

他企業へのレクチャーなどと合わせ、これまで400社以上へノウハウを提供してきた。

今回新たに開発した「アライ育成研修」は、LGBTQ+に対する「アライ」(理解者・支援者)の輪を広げることを狙いとした研修プログラム。

当初は社内研修プログラムとして社内啓発を目的に実施していたが、P&Gのこれまでの知見や失敗も含めた経験を社外に提供することで、同様に LGBTQ+への理解を促進。

誰もが自分らしく活躍できるインクルーシブな職場づくりに貢献したいという想いから、プライドハウス東京の協力の下、社外の人も受講できるプログラムへと改編したとのことだ。

実際に、今回の研修プログラムの開発に合わせてP&G独自の調査を実施。同調査では、「アライ」の言葉の認知率は7.7%と低いが、53.8%がアライの考えに共感するという。しかし、共感者の69.1%は「アライとして行動していない」のが実情であるという。

また、日本の 20 代〜60 代の LGBTQ+の当事者が最も生きづらさや苦労を感じているコミュニティは「職場」であるということが明らかになったとのことだ。

■「アライ」とは

「アライ」とは仲間や同盟を意味する英単語「Ally」が語源で、一般的に LGBTQ+への理解者・支援者。

P&Gでは、「アライ」の考え方は、LGBTQ+以外にも通ずるものであると考えており、障がいや人種などさまざまなマイノリティに対する理解者・支援者においても、同様に「アライ」と定義している。

■アライ育成研修概要

「アライ育成研修」は、講義とワークショップの2つのパートから構成。

前半の講義パートでは、性の多様性についての知識を身に付けるほか、P&Gの事例などを通し、インクルージョンの重要性について理解を促進。

後半のワークショップでは、参加者同士でのディスカッションを通して、参加者一人一人が、「アライ」がもたらすものとは何か、明日から「アライ」として何ができるかを考え、少しでも多くの参加者が「アライ」としてのスキルを身に付けることを狙いとしている。

プログラムの講師は、P&Gの中でも特にインクルージョンに精通した社員や執行役員が担当し、高品質な研修プログラムの提供を実現するとのことだ。

今後、5月末より、ウエルシア薬局、神戸市役所をはじめ、社外への提供を順次行っていくとしている。

【実施方法】

● 所要時間:約2時間(グループディスカッション含む)
● 実施形式:オンライン開催
● 対象:20人〜30人

【プログラム構成】 講義+ワークショップ

● 多様性・平等な機会・インクルージョンとは何か
● 「性の多様性」とは、知っておきたい基礎知識
● P&Gジャパンにおける事例紹介:今までの取り組みや注力分野、アライコミュニティ「GABLE」の設立
● 「アライ」とは:アライにできる5つのこと
● ワークショップ(グループディスカッション)
● アライが組織・社会にもたらすもの、P&Gアライ社員の実際の声
● 明日からのアクション

P&Gは、同研修の社外提供活動を通して、さまざまな組織内でインクルーシブな風土を醸成し、全ての人が自分らしく、最大限の能力を発揮できる安全かつインクルーシブな職場・社会づくりを推進していくという。

そして、LGBTQ+に対する活動にとどまらず、ジェンダー平等や障がいなどへの取り組みにもより一層注力し、今後も重要な経営戦略の一環として、「平等な機会とインクルーシブな世界の実現」を目指すとのことだ。

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