サイバーエージェントの官公庁・自治体のDX推進支援を行う専門開発組織「GovTech(ガブテック)開発センター」およびAI技術の研究開発組織「AI Lab」、東京大学マーケットデザインセンター(The University of Tokyo Market Design Center 以下、UTMD)は、東京都渋谷区とともに、共同研究のテーマの1つである「保育所における利用調整の改善」を目的に、マーケットデザインを用いた実証実験を開始したと発表した。
利用調整のアルゴリズム改善および関連した手続きのデジタル化を目指すとしている。
昨今、少子化や待機児童、教育格差など子育てに関する課題が深刻化しており、「子ども庁」の創設が検討されるなど安心して子どもを産み育てられる社会の実現に向けて対策が進められている。
女性の就業率の上昇などに伴い保育需要が拡大している中で、子どもの預け先が見つからない「待機児童」問題は、産休・育休後の復職の妨げになり、子どもを持たない理由として挙げられるなど早急な改善が求められているとのことだ。
東京都渋谷区では、0歳から5歳までの人口増加や共働き家庭の増加などの影響で待機児童が増加したことを受け、解消に向けた施策として30以上の保育所の新設などハード面の対策を進めてきた。
一方で、同社およびUTMDは、利用者の希望に応じて適切に保育所を割り当てる「利用調整」などソフト面の対策も有効であり、利用調整に用いるアルゴリズムを改善することで待機児童の大幅な減少や、希望する保育所の入所へ繋がるなどの効果が期待できると考えているとのことだ。
このような背景の元、今後より一層の保育サービスの向上を目指す渋谷区とともに、同社とUTMDは、共同研究の一環として、保育所の利用調整アルゴリズムの改善および関連した手続きのデジタル化を目指した実証実験を開始。
同実証実験では、過去の保育所利用調整データをもとに新たな利用調整アルゴリズムを適用することで、待機児童数や入所児童の希望順位などといった指標の分析から、アルゴリズムの変更がどのような結果をもたらすのかを検証するという。
また、保育園の入園申込に必要な申請から利用調整の決定までの一連の流れをデジタル化するといった、手続きの簡易化も進めることで、実証実験の結果を踏まえた最適なアルゴリズムとシステムの開発および実装を目指すとのことだ。
今後も、同社の強みであるデジタルマーケティングや運用力、AI・ブロックチェーン技術の豊富な知見とアカデミックとの産学連携などの強みを活かしながら、企業や行政・自治体のDX推進を支援し、より多くの人に適切で正確な情報をいち早く届けることができるよう尽力していくとしている。