Hondaは、三菱ケミカル、北海道自動車処理協同組合(以下、北自協)と共同で、使用済み自動車(End-of-Life Vehicle、以下、ELV)から回収したPMMA(ポリメチルメタクリレート、以下、アクリル樹脂)水平リサイクルの実証実験を2021年8月に開始すると発表した。
これまでアクリル樹脂の処理にあたっては、分別回収やリサイクルの技術的難度の高さから、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するにとどまっていたという。
今回取り組む水平リサイクルは、使用済みの製品から回収した材料を高度なリサイクル技術でバージン材と同等の性能・品質のリサイクル材に転換し、同一種類の製品を製造するものであるとのことだ。
この水平リサイクルのシステムが確立すれば、一例としてはELVから回収したテールライトから再度テールライトを製造することが可能になる。加えて、アクリル樹脂製造・廃棄時のCO2排出量削減にも寄与。
同実証実験では、北自協の各加盟事業者がELVから材料の回収・粉砕、三菱ケミカルが粉砕品を樹脂の原料となる分子状態に戻すモノマー化、並びにそのモノマーを繰り返し結合(重合)することによって生成する高分子化合物(樹脂)を製造するポリマー重合の検証を実施。
なお、Hondaは、回収要件の設定、回収輸送、粉砕品の品質確認および全体管理を担うとしている。
この実証を通じ、異物が混入しない回収手法、バージン材同等の品質達成技術、ELVから回収される樹脂粉砕品の高効率輸送スキームなどを確立させた上で事業性検証を行い、水平リサイクルスキームの構築を目指すという。
Hondaは「環境負荷ゼロ」の循環型社会の実現のため、2050年にHondaの関わる全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを目指し、その実現のための柱の一つとして「リソースサーキュレーション」に取り組むとしている。
今回の実証実験はその循環型社会実現にむけた第一歩と考えており、今後もリサイクルに関する研究を進め、サステナブルマテリアル100%での製品開発にチャレンジしていくとのことだ。