富士フイルム和光純薬は、新型コロナウイルス変異株の検出試薬「L452R 変異検出キット」(研究用試薬)を発売したと発表した。
同キットは、ワンステップRT-qPCR 法に用いることで、インド型・カリフォルニア型ウイルスに共通する「L452R」変異を高感度に検出することができる。
同社は、新型コロナウイルス変異株の検出試薬のラインアップを強化し、新型コロナウイルス感染症の実態調査や感染拡大の抑制に貢献していくとのことだ。
新型コロナウイルス感染症の流行が続くなか、各国で様々な変異株が確認されている。日本においては、イギリス型・南アフリカ型・ブラジル型の感染が徐々に拡大。
ウイルス表面のスパイクタンパク質に「N501Y」の変異を持つイギリス型は感染力が高く、また「N501Y」及び「E484K」の変異を有する南アフリカ型・ブラジル型は、感染力の高さに加えて、ワクチンの効果を低下させる恐れがあると指摘されているという。
さらに、最近では、日本人に多い白血球型「HLA-A24」において免疫効果の低下が示唆されている「L452R」変異を有するインド型・カリフォルニア型の感染が国内で確認されているとのことだ。
今回発売する「L452R 変異検出キット」は、同社独自の設計手法により開発した、新型コロナウイルス変異株の検出試薬。
同キットは、新型コロナウイルスの陽性検体から「L452R」変異を高い感度で検出することが可能。さらに、今年 3 月に発売した「N501Y 変異検出キット」および「E484K 変異検出キット」との併用により、①イギリス型、②南アフリカ型またはブラジル型、③インド型またはカリフォルニア型の該当結果を得ることができるとしている。
また同社は、インド型ウイルスが持つ「E484Q」変異を検出する「E484Q 変異検出キット」を開発中。
今後、今回発売する「L452R 変異検出キット」のみならず、「E484Q 変異検出キット」も併せて使用することで、「E484Q」変異を持つインド型ウイルスを判定することが可能となるとのことだ。
同社は、効率的な PCR 検査を実現する新型コロナウイルス用遺伝子検出キットを開発し、行政検査などの用途として提供。また新たな変異株への迅速な対応に向けた研究開発を進め、変異株の検出試薬の早期市場導入やラインアップ強化を図っているという。
また、同社は今後も、「次の科学のチカラとなり、人々の幸せの源を創造する」という理念のもと、社会や顧客のニーズに応える高機能・高品質な製品を開発・提供し、医療をはじめとする幅広い分野の産業や学術研究の発展に貢献していくとしている。