無印良品を展開する良品計画は、神奈川県横浜市と、「横浜市と良品計画による感じ良い暮らしと社会の実現に向けた包括連携協定書」を締結したと発表した。

地域活性化や地域課題解決に寄与することを目的とした連携協定

良品計画は、「感じ良い暮らし」「感じ良い社会」の実現を目指し、各自治体や地元住民が主役となって、それに無印良品が巻き込まれる形で地域を活性化していくさまざまな取り組みをすすめている。

また、地域に開かれた店舗運営を通じて人と人、人と自然、人と社会をつなぐ場となることを目指しているとのことだ。

横浜市は、日本の市区町村の中で最も多い約378万人を有する政令指定都市であり、中心部には商業地が広がる一方で、市の大半は閑静な住宅地や近郊農業地帯となっており、大規模団地等集合住宅の老朽化や少子高齢化の急速な進展など、都市共通の課題も見られるという。

同市はこれまでも、中期計画の基本姿勢である「SDGs・オープンイノベーション・地域コミュニティ」の視点に立ち、これら課題の解決につながる取り組みを進めてきたとのことだ。

同市と同社は、これらの取り組みをさらに発展させることを目指し、地域活性化や地域課題解決に寄与することを目的とした同協定を締結。

「無印良品 港南台バーズ(横浜市港南区)」の関東最大店舗への増床リニューアルオープンにおいても、生産者と利用客をつなぐ青果売場の展開や、地元で活躍する人々によるマルシェの開催などを予定しているとのことだ。

この無印良品 港南台バーズを含む市内18の無印良品店舗を軸に、今後、双方の強みや資源を生かし、「食と農」「資源循環」「くらしのサポート」「まちの再生」の多様な分野で具体的な取組みを進めていくとしている。

【協定における連携分野】

同協定では、以下の分野を中心に連携し、協力していくという。
●環境に関する実践行動の普及に関すること
●地域資源を活用した農業振興に関すること
●高齢者の健康・福祉に関すること
●施設・空間の有効活用に関すること
●災害対策に関すること
●子育てや次世代育成支援に関すること
●その他地域活性化に関すること

【取組の方向性・具体例】

■「環境に配慮したスマートな暮らし」の実感
2030年までの達成を目指すSDGsや、2050年を見据えた「温室効果ガス実質排出ゼロ(脱炭素化)の実現」に向けて、地球温暖化対策を「自分ごと」として実感できるような取組を共に推進し、SDGs未来都市・横浜を実現していくとしている。
①食品ロス削減とフードドライブ運動の推進
②規格外商品の販売促進
③環境に対する市民意識の向上を図るイベント・講座等の開催

■「食と農」を実感
無印良品 港南台バーズのコンセプトでもある「まちの台所」としての役割を果たし、豊かな心と身体をつくるための食育や、地産地消を実感できる機会を提供し、横浜の食と農を楽しめる取組を推進。
①横浜産野菜の販売
②地域で食育や健康づくりに取り組むヘルスメイト(食生活等改善推進員会)と連携したレシピの提案

■「シニアライフ」の支援を提案
地域の高齢者に、生き生きとした日々を過ごしてもらうことにつながるような支援や場を提供。
①当日配送サービスの提供
②高齢者の社会参加を支援するための場を提供

■「公共的な場づくり」の研究・実証
市が保有する土地・建物の利活用や、住宅地・団地の再生につながる試みや調査を実施。
①住宅地・団地での暮らしの課題解決につながる出張販売等の支援サービスの提供
②市所有の土地、建物等の有効活用に係る調査・研究
③団地リノベーションなどを通じて培った、団地再生の知見を活用した調査・研究

■「災害への備え」のための「いつものもしも」を推進
日常の暮らしの中に災害への備えを組み込む「いつものもしも」を意識できるような啓発や、災害時における物資調達、情報提供など、防災力向上に資する取組を推進。
①防災に関するイベント・講座等の開催
②災害時における食料品や日用品の調達
③災害時における水道・トイレ・周辺情報等の提供

■「地域のコミュニティセンター」としての役割の実現
単なる店舗に留まらない、地域に開かれ親しまれる「地域のコミュニティセンター」としての役割を実現していく。
①多世代が集い交流できるようなイベント・講座等の開催
②地域の子どもが楽しみながら学ぶことができる場の提供