アクセンチュアは、資生堂と、合弁会社「資生堂インタラクティブビューティー(SHISEIDO INTERACTIVE BEAUTY)」を7月に設立することに合意したと発表した。
2月9日に発表した両社間の戦略的パートナーシップによる資生堂のデジタルトランスフォーメーション(DX)をさらに加速していくとのことだ。
資生堂は、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」の中で、スキンビューティー領域をコア事業とする抜本的な経営改革を実行し、2030年までにこの領域における世界のNo.1企業になることを目指しており、その一環として「デジタルを活用した事業モデルへの転換・組織構築」を掲げているという。
新会社は、この資生堂が掲げる中期経営戦略に基づき、ビューティー領域に特化したデジタル・ITの専門家集団として、資生堂だけでは成し得ないスピードとイノベーションで、新しいビューティー体験を実現。
また、社外からも積極的に人材を登用し、資生堂のデジタルトランスフォーメーションを加速させるとしている。
さらに、アクセンチュアが提供するデジタル・IT分野のトレーニングプログラムを資生堂のニーズに合わせて最適化し、高度なスキルを持つ社員の育成を図ることで、資生堂全体のデジタル・IT能力の向上にも貢献していくとのことだ。
資生堂 代表取締役 社長 兼 CEO 魚谷雅彦氏は次のように述べている。
「美の力でよりよい世界の実現を目指す中で、変化し続けるお客さまと市場に迅速に対応するためにデジタルトランスフォーメーションは必要不可欠な要素となっています。グローバルでのデジタル領域で多くの実績を持ち、なによりもその企業理念と価値観に共感するアクセンチュアとの協業は、当社にとって大きな飛躍のチャンスを生み出すでしょう。お客さまが今までに経験したことのない新しいビューティー体験を共に生み出し、化粧品業界に変革を与えることができると確信しています」
新会社は、データとテクノロジーを駆使したデジタルマーケティングの強化やオンライン・オフラインの融合により、これまでになかったビューティー体験を実現するという。
例えば、ユーザーがオンラインや店頭などで行った肌診断やバーチャルメイクアップ診断履歴をデータベースに蓄積するという。
この履歴データを分析して、時間や場所を自由に選択できるカウンセリングやレッスンのメニューを提案するなど、拡張現実などの最新のテクノロジーも活用し、ユーザー一人ひとりに合わせてパーソナライズされたサービスを、生涯にわたりさまざまなコンタクトポイントで提供することが可能になるとのことだ。
また、既存システムのクラウド移行を始めとする「クラウドファースト」戦略を推し進めることで、IT機能の拡充と柔軟なシステム基盤を迅速に構築し、資生堂の既存IT投資およびメンテナンスコストの投資効率を高めるとともに、事業スピードとデータによるビジネス判断の迅速化を実現するとしている。
アクセンチュア 最高経営責任者(CEO)のジュリー・スウィート氏は次のように述べている。
「アクセンチュアは、資生堂が ”BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD” というミッションを掲げ、お客様のあらゆるニーズに応えていくという、2030年に向けた大胆なビジョンの加速をお手伝いできることを光栄に思います。資生堂とのパートナーシップは、互いが共感している価値観に基づいています。その価値観は、資生堂の消費者にかつてない体験をもたらし、小売店をはじめとしたビジネスパートナーの皆様にも価値を提供するという点だけには留まりません。社員のデジタルスキル習得に向けた積極的な投資、平等な環境の構築に向けたインクルージョン&ダイバーシティの推進、また、サステナビリティを中心に据えた製品と企業運営の姿勢など、すべての人に価値をもたらす変革までを目指しているのです」
資生堂インタラクティブビューティーは、資生堂が過半を出資する形態で2021年7月に設立され、両社のデジタルやIT領域などの専門家の約250名で構成される予定とのことだ。