NECソリューションイノベータは、自治体における人事異動事務の効率化と組織の人員配置の最適化を支援する「NEC 人事異動AI支援ソリューション」を本日より提供開始すると発表した。

同ソリューションは、ベテラン職員の高度な専門性が必要とされる人事異動事務に対し、過去の異動履歴や人事情報をAIで分析することで、異動候補者の選出や最適な配属先の選定を行い、人事異動事務の効率化と人事業務の高度化を支援するもの。

近年、AIなどを活用した自治体の事務処理の自動化や業務の標準化により、行政サービスを効率的に提供する「スマート自治体」の実現に向けた取り組みが進められているという。

総務省の「スマート自治体研究会」の報告書においても、スマート自治体の「目指すべき姿」として「ベテラン職員の経験をAI等に蓄積・代替し、事務処理を行うこと」が掲げられている。

自治体の人事異動業務では、様々な優先条件と制約条件を考慮しながら全体最適化を見据えて配属先を選定する必要があるため、作業に時間がかかるだけでなく、経験やノウハウが必要とされているとのことだ。

こうした状況を受け同社は、AIがベテラン職員の経験やノウハウを代替することで、人事異動事務の負荷軽減につながるソリューションの提供を開始。

昨年、同ソリューションの技術を用いた福島市との実証実験では、人事異動事務の効率化により、作業時間を大きく削減することができたとのことだ。

ソリューションの特長

1.異動候補者の抽出

在籍年数や男女比率など過去の異動情報データから作成した予測モデルで、各職員に対し人事異動の対象か否か、およびその確率をスコア化。各職員のスコアによって異動有無の判断を補助し、異動対象者の選出作業を効率化するという。

2.最適な配属先をシミュレーション

異動対象者の情報と、職種や年齢、資格などの考慮すべき条件をもとに、組合せ最適化モデルで分析を実施。具体的には、異動対象者ごとに候補となる配属先をスコア化し、全対象者がより高いパフォーマンスを発揮する職場への配属となるようにシミュレーションを行うとしている。

これにより、全職員の最適配置につなげることが可能になるとのことだ。

3.異動原案の最適化

配属先シミュレーションで得られた異動原案のデータに対して、異動条件に合致しない職員の配属先を変更し、何度でも組合せ最適化モデルで分析することができるという。異動原案の精査を容易にすることで、作業の負荷軽減を支援。