ネスレは、世界で最も人気のチョコレートブランドの一つである「キットカット」で2025年までにカーボンニュートラルを達成することを公約したと発表した。

計画の一環として、「キットカット」の原材料調達・製品製造・配送により発生する温室効果ガスの排出量を50%以上削減することを目指すという。

温室効果ガスの排出量の多くは、カカオやミルクといった「キットカット」の原材料を生産する際に発生する。この排出を、森林の再生や再生農業への移行の支援などの取り組みを通じ、可能な限り削減。

削減できない排出については、自然気候変動対策に基づいた質の高いオフセットに投資するとしている。

ネスレは、気候変動と持続可能性に関するグローバルなコンサルティング会社であるThe Carbon Trustと協力して、現在のカーボンフットプリントを測定しており、このプロセスは2021年後半に完了予定。

●森林の保護と回復

森林破壊は、農業サプライチェーンにおける地球規模での二酸化炭素排出の主要な要因の一つであるという。

ネスレは、森林破壊ゼロというコミットメントを達成するため、過去10年間、認証・サプライチェーンマッピング・衛星画像など、さまざまなツールを活用してきた。

さらにネスレは森林の保護と回復に力を入れており、例えば、カカオのサプライチェーンにおける森林保護と回復を支援するアクションプランを2019年に発表している。

また2021年4月には、他社と協力してRimba Collectiveを立ち上げ。この取り組みは、ネスレが原材料を調達する東南アジアにおいて、50万ヘクタール以上の熱帯林景観の保護と回復を支援するものであるとのことだ。

●再生農業の拡大

「キットカット」では、カカオ・パーム油・穀物・砂糖・乳製品の生産者と協力して、再生農法の導入を拡大するとしている。合成物質の投入を削減し、土壌を適切に管理し、植林を行う農法は、大気中の二酸化炭素を削減し、生物多様性を高め、農場の生産性を向上させるとのことだ。

この取り組みを支援するため、ネスレは2025年までに500万本の緑陰樹(シェードツリー)をカカオ豆の調達地で植林し、農業従事者を支援するという。

●再生可能な電力への移行を加速

「キットカット」では、工場の環境フットプリントの改善に取り組んでいる。「キットカット」の製造に必要なエネルギーを、2000年と比較して製品1トンあたり40%以上削減。

英国の風力発電所の電力、中東やブラジルの太陽光発電所の電力など、ネスレは「キットカット」の製造拠点において、再生可能な電力を使用している。ネスレは、化石燃料への依存をなくす新たな方法の模索を続け、2025年末までにすべての「キットカット」製造工場で再生可能な電力を100%使用するとのことだ。

●10年以上にわたる取り組みに立脚

「キットカット」には、10年以上前からサプライチェーンのサステナビリティを改善してきた歴史がある。

2009年、ネスレは「ネスレカカオプラン」を立ち上げ、2016年には「キットカット」製品に使用されるカカオ豆の100%をこのプログラムから調達。同プランのもと、ネスレは1,500万本以上のカカオの木を植樹し、サステナビリティ改善のために3億スイスフランを支出してきた。

「キットカット」ブランドにおけるカーボンニュートラルの新たな誓約は、さらに環境フットプリントを削減するというネスレの継続的な取り組みを補完するものであるという。

ネスレは、遅くとも2050年までに、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出実質ゼロの達成を目指しているとのことだ。