日立製作所(以下、日立)は、ダイバーシティ&インクルージョン推進の取り組みの一環として、2020年度までの目標としていた「役員層(執行役および理事)における女性比率および外国人比率10%」を2021年4月1日付で達成したと発表した。
そして、ダイバーシティ&インクルージョン推進をさらに加速させるため、「2030年度までに役員層(執行役および理事)における女性比率および外国人比率を30%」とする新たな目標を設定し、そのマイルストーンとして、「2024年度までに役員層(執行役および理事)における女性比率および外国人比率を15%」とすることを目指すとしている。
●日立におけるダイバーシティの重要性
ダイバーシティはイノベーションの源泉であり、日立の成長エンジンであるという。
ダイバーシティ&インクルージョンの推進を経営戦略の一環として位置付けており、性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・障がいの有無・性的指向といった違いを「その人がもつ個性」と捉え、それぞれの個性を尊重し、組織の強みとなるよう生かすことで、個人と組織の持続的成長につなげることを目指しているとのことだ。
多様な従業員一人ひとりの個性を生かすとともに、優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、社会および顧客の多様なニーズに応えるため、ダイバーシティ&インクルージョン推進に向けて取り組んでいるという。
また、日立グループ従業員(約35万人)に占める海外従業員比率は昨年度初めて50%を超え(約19万人、55%)、グローバルでの取り組みを一層強化していくとしている。
●女性・外国人・障がい者の活躍推進に向けたグローバルな取り組み
ダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けて、2017年には、当時2.5%であった役員層の女性比率を2020年度までに10%にする目標を設定するとともに、当時3.5%であった外国人比率を2020年度までに10%にする目標を設定。
2020年4月からはCDIO(Chief Diversity &Inclusion Officer)にロレーナ・デッラジョヴァンナが就任し、この取り組みを強化しているとのことだ。
女性の活躍推進に関しては、2015年4月に初めて役員級の理事に女性を登用したほか、2021年4月に日立製作所初の女性執行役として、ロレーナ・デッラジョヴァンナを執行役常務に任用するなど、より多くの女性が経営の意思決定へ参画できる体制の構築を進め、2021年4月に役員層における女性が7人となり、女性比率10%の目標を達成。
また、将来の女性リーダー候補となる母集団の形成を目的として、2020年度までに女性管理職数を2012年度比2倍の800人にすることも目標に掲げており、こちらは2020年10月に半年前倒しで達成。
外国人の活躍推進に関しては、特に、意思決定層において積極的に外国籍人財の登用を進めており、現在、日立の取締役は全13人のうち、6人が外国人であるという。
また、2021年4月からの執行役体制においては、執行役副社長のアリステア・ドーマーをはじめ、執行役専務に新たにクラウディオ・ファキンを任用するなど、役員層における外国人が8人となり、外国人比率10%の目標を達成。
引き続き、グローバルで多様な視点を経営に反映するとともに、経営監督機能の強化を図っているとのことだ。
さらには、女性・外国人に限らず、さまざまな個性を持った人々が活躍できる環境づくりに向けて、障がい者の活躍推進に取り組む国際的なムーブメント「The Valuable 500」に加盟するなど、ビジネスにおける障がい者インクルージョンにも取り組んでいる。
●目標達成に向けた今後の取り組み
これらの取り組みに加えて、女性や外国人など多様な人財の採用や、タレントレビューや人財マネジメント統合プラットフォームを活用した人財の可視化、経営リーダー育成施策を通じた候補者の特定と育成の加速をグローバルに推進していくとしている。
日立は、今回設定した2030年度における新たな目標のもと、今後も、グループ全体でダイバーシティ&インクルージョン推進の取り組みを加速し、多様な人財一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境づくりを支援することで、複雑な社会課題および顧客の課題の解決を通じた社会価値の創出に貢献していくとのことだ。
■役員層(執行役、理事)に占める女性比率および外国人比率の推移と目標