塩野義製薬、大阪府の下水から新型コロナ流行状況のモニタリングを開始 早期検知へ北海道大と共同事業

北海道大学および塩野義製薬は、大阪府の協力を得て、下水疫学に基づき新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況をモニタリングすると発表した。

【事業の内容】

■目的
下水疫学に基づき、新型コロナウイルス感染症の流行予測について、ウイルスの定量・変異解析を実施

■期間
2021年4月15日~6月14日

■研究主体
塩野義製薬

■技術開発
北海道大学・塩野義製薬

■検体採取協力
大阪府(大阪市域は大阪市)

【事業開始の経緯】

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は感染者の糞便中から高い割合で検出されているという。

下水処理場の流入下水中のウイルスをモニタリングすることで集団レベルの疫学情報を取得する「下水疫学調査」の研究および社会実装が世界中で加速しており、欧米の一部の国・地域においては新型コロナウイルス感染症の流行状況の早期検知や収束判断、感染・増殖能の高い変異株の侵入・発生動向確認に活用されている。

しかし日本においては、欧米と比較して人口当たりの感染者数が少なく下水中SARS-CoV-2濃度が低いことから、社会実装に向けてはより高感度なウイルス検出法および大量検査が可能なインフラの構築が課題となっていたとのことだ。

そこで、北海道大学および塩野義製薬は、これらの課題を克服し得る下水中SARS-CoV-2の高感度検出技術を共同開発するとともに、検出工程の自動化を実現。

なお、これまでに下水処理場の流入下水中から感染性を有するSARS-CoV-2が検出されたという報告はないとのことだ。

今回、大阪府大阪市域は大阪市)による検体採取協力のもと、北海道大学および塩野義製薬で共同開発した高感度ウイルス検出法、またその検出法によりRBI(ロボティック・バイオロジー・インスティテュート)・iLACを加えた4者間で構築した、ハイスループットで下水中のウイルス量測定およびゲノム解析(変異株の検出)を行う体制を活用し、大規模なモニタリングを開始するという。

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