東京建物は、東京建物が保有・管理する「東京スクエアガーデン」において、ブリヂストンおよび環境配慮型の素材開発から循環までを推進するTBMとともに、東京スクエアガーデン内のブリヂストン本社オフィスより排出される使用済みプラスチックを回収し、自動選別装置で選別された資源プラスチックを用いたマテリアルリサイクルの実証実験を2021年3月から5月末にかけて実施すると発表した。

東京スクエアガーデン外観

今後、再生したプラスチックはオフィス用品として再び館内で利用する予定であるという。

東京建物グループは、「グループ環境方針」に基づき、環境に配慮した事業活動を実施することで持続可能な社会の実現に貢献している。

東京建物グループが保有・管理するオフィスビルに入居されている企業等からの、高まる再資源化等の要請に迅速に応じることができるよう、先行してプラスチックの資源循環スキームを構築し、環境配慮型オフィスビルである東京スクエアガーデンを皮切りにマテリアルリサイクルの推進に貢献することを目指していくとのことだ。

さらに東京建物グループでは、企業価値の向上と社会価値の向上をより高い次元で実現するため、グループ全体で積極的にサステナビリティ施策に取り組み、ESG 経営の高度化を推進。

近年、事業環境の変化のスピードが加速する一方で、ESG 経営の重要性は増大している。こうした環境において、2020年以降もグループ一丸となって持続的成長を実現するため、長期ビジョンの策定・サステナビリティ推進体制の整備を実施。

長期ビジョンは、東京建物が現在推進中の大規模再開発が竣工するタイミングであり、SDGs のターゲットイヤーとも重なる2030 年頃を見据えているとのことだ。

東京建物グループは、社会課題の解決と企業としての成長のより高い次元での両立を目指すとしている。

■プラスチックリサイクルの機運の高まり

プラスチックは、汎用性が高く、私たちの生活に必要不可欠な素材。

しかし近年、「海洋プラスチックごみによる海洋汚染」や「CO2 排出量の増加による気温上昇」等が日本を含む世界各国で問題視されており、プラスチックを含む廃棄物問題の解決に向け、国内外でさまざまな施策が打ち出されている。

国際的には、「バーゼル条約」の規制対象に汚れたプラスチックごみが追加され、自国におけるリサイクル等による資源循環スキーム確立の必要性が増加。

日本では、政府による「プラスチック資源循環戦略」が発表され、2030 年までにプラスチックの再生利用(再生素材の利用)を倍増すること、また、2035 年までに使用済プラスチックを100%有効利用することがマイルストーンとされている。

さらに、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が2021 年3 月9 日に閣議決定され、特定のプラスチック製品の有料化や、市区町村、排出事業者による分別収集、再製品化の促進が求められるとのことだ。

■オフィスなどの事業系プラスチックごみリサイクル義務化の見通し

先に挙げた機運の高まりや、規制厳格化を受け、日本国内では2020 年 10 月、企業のオフィスや工場から出る包装資材や建材等、様々なプラスチックごみについて、今後大口排出する事業者にはリサイクルを義務付ける政府の方針が決定。

現状、事業者のオフィス・商業施設・交通施設から排出される事業系混在廃プラスチックは、年間約100 万トンに上り、大半が焼却されているが、今後大口排出者は、新たに分別・リサイクルについて計画を立てる必要が生じるという。

また、これを回収・選別・リサイクルするための新たなサービスが求められるとのことだ。

■ペットボトルキャップ回収の取り組みについて

プラスチック資源の国内循環が推奨されている中、ごみ袋はバージン素材を使用した、海外輸入品が大きな割合を占めており、プラスチックの再生利用への対応および輸送の際の環境負荷低減が求められている。

一方で、オフィスから排出される廃プラスチックの多くは再生利用されず、焼却処理されているとのことだ。

これらの背景を踏まえて、東京建物とTBM は、東京スクエアガーデンの各テナントよりペットボトルキャップを回収し、施設内で使用される「CirculeX ごみ袋」として生まれ変わらせる取り組みを開始。

国内生産されたCirculeX ごみ袋を採用することで、海外で生産されたごみ袋と比較し、輸送距離とバージン材の利用を抑えられ、約45%のCO2を削減することが可能であるとのことだ。

同取り組みを通じて、プラスチックの再生利用を促進し、低炭素型の資源循環モデルを進めていくとしている。