ウェザーニューズは、重大な海難事故の一つである座礁事故への対策を支援するため、海運業界向けに「NAR(Navigation Assessment & Routeing)サービス」を開発したと発表した。

同サービスは、陸上の運航管理者や関係各社に対して、船舶の座礁の危険性を自動検知して通知する世界初のサービス。

船舶の航路データをベースに、浅瀬や漁船混雑エリアなど危険性の高い区域へ接近を計画または接近・航行した場合、もしくは計画航路から逸脱した場合に、自動でアラート通知。2021年5月から提供開始を予定しており、国内外の外航海運大手船社を中心に、船主・船舶管理会社での採用が見込まれているとのことだ。

今後は、台風接近時の強風による走錨リスクや、荒天時の船体動揺リスクなどの通知も追加し、NARを座礁対策だけでなく走錨や動揺など様々な航海リスクへの対策支援まで拡張するとしている。

また、同社は2022年までに、温室効果ガスの排出削減など海運の環境貢献を支援する様々な「環境運航支援サービス」を順次リリースしていくという。

なお、座礁対策の支援は、安全対策だけでなく海洋環境の保護につながることから今回のサービスを「環境運航支援サービス」の第一弾と位置付けているとのことだ。

座礁リスクを陸上運航管理者に通知する世界初の「座礁対策支援サービス」

近年、世界各地で海難事故が多発しており、座礁事故は重大な海難事故に該当するという。現在、海運業界では浅瀬の航行は船舶に任せられているが、船員の業務負担増によるヒューマンエラーの発生が事故の一因であると言われているとのことだ。

このことから、船舶の動静や航海リスクを監視する陸上の運航管理者が船舶の座礁リスクを把握していきたいというニーズが出てきているという。

しかし、現在は陸上から船舶の座礁リスクを把握するシステムは存在せず、多くの船舶からリスクのある船をリアルタイムに検知することが難しく、課題となっている。

そこで、当社は陸上からの安全監視サポートを高度化するため、世界で初めて陸上の運航管理者向けに船舶の座礁リスクを自動検知・通知する「座礁対策支援サービス」を開発。

同サービスは、航海前・航海中の航路データや船舶の位置をリアルタイムに監視し、船舶が浅瀬や漁船混雑エリアなどの座礁の危険性の高い区域への接近を計画した場合、もしくは実際に接近・航行した場合に、船舶および運航会社、船主などに自動でアラート通知。

船舶の航海計画や当社独自の“航路データ”と、世界中の独自の風、海流、波などの高精度な“気象・海象データ”、2分間隔の船舶の位置情報や海図、航行警報、独自の座礁リスク区域データベースなど、航海に必要な“ナビゲーションデータ”を組み合わせて監視することで、航海計画からの乖離や座礁事故発生の可能性を事前に検知することが可能であるとのことだ。

“航路データ”は、船舶の航海計画に加えて年間1万隻の船舶を支援する同社独自の航路データも使用するという。

海運業界向けに環境対策をデジタル技術でサポートする環境運航支援サービス

昨今、気候変動の影響で極端気象が増加してきたことで、パリ協定の成立や、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の採択など、地球温暖化防止をはじめとする地球環境保全への要請が高まり、業界や国を越えて様々な取り組みが始まっている。

海運業界も例外ではなく、IMO(国際海事機関)も2050年までにCO2の排出量を50%削減する(2008年比)という目標を掲げているという。

ウェザーニューズはこれまで、海運業界向けに安全で経済的な運航を支援するサービスを提供してきたが、今後はさらに環境対策にフォーカスした、環境運航支援サービスをリリース。

今回座礁事故防止による海洋環境保護に貢献する「座礁対策支援サービス」を第一弾としてリリースし、今後はCO2等の温室効果ガス削減にも配慮した新たなサービスを展開していくとのことだ。

これらのサービスは、海上輸送に関わる荷主企業、運航船社、船主、船舶管理会社を対象に、船舶・船員・貨物の安全性、経済性、環境性を同時に実現することを支援。

DX(デジタルトランスフォーメーション)のテーマに対しては、船陸の双方に革新的なIT技術を採用することで、リモート業務体制における業務効率の向上、情報セキュリティ対策、温室効果ガス排出量の見える化などのサポートが可能となるとしている。