電気通信事業を営む21社は、日本電信電話(以下、NTT持株)によるNTTドコモの完全子会社化を目的とした株式公開買付けの手続きの終了後に、電気通信市場における公正競争の確保などの観点から検討を行うことを目的として開催された「公正競争確保の在り方に関する検討会議」(以下、検討会議)の報告書 (案) に対する意見募集を受けて、2021年4月5日に連名意見書(以下、同意見書)を総務省に提出したと発表した。
■意見事項
1.NTTドコモの完全子会社化に係る一連の行政対応が歪められていなかったか、「情報通信行政検証委員会」(以下、検証委員会)による徹底した真相究明を行うこと。
2.検証委員会の検証結果を踏まえ、検討会議の報告書の措置内容について改めて議論を行い、その結果を検討会議の報告書に反映するとともに、それが完了するまで、NTTドコモによるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズおよびエヌ・ティ・ティ・コムウェアの子会社化といった、NTTドコモの完全子会社化を踏まえた一連の統合・再編成などについて一方的に進められることがないよう、総務省がNTT持株などを指導・徹底すること。
3.NTT持株などと総務省の関係において判明した事案により”行政の公正性”に疑義が生じたことを踏まえ、今後の検討および検証においては、NTTグループの在り方を含めて必要な検討の推進を図ること。
■同意見書提出の背景
2020年9月29日、NTT持株が情報通信市場を取り巻く環境変化などを理由に、NTTドコモの完全子会社化を目的に株式公開買付けの開始を公表。
NTTドコモの完全子会社化は、政府措置の「完全民営化」の方針に逆行するものであり、過去の政策議論 (郵政省における審議、閣議決定、NTT法の改正など) の趣旨に明確に反するものであったが、総務省は同件に関し特段の措置を講じることなく、当該株式公開買付けの手続の終了後に初めて検討会議を設け、電気通信市場における公正競争の確保などの観点から必要な方策などについて検討を開始。
2021年3月5日、検討会議は報告書 (案) を公表し、広く意見の募集を開始したが、報告書 (案) の公表後にNTT持株などと総務省の関係において判明した事案により、2021年3月17日、同事案の検証のため総務省に設置された検証委員会の第1回会合が開催されたところであるとのことだ。
電気通信事業を営む21社は、こうした状況の下で、事情変更を踏まえることなしに、公表された報告書 (案) に基づき取りまとめを進めることは適切ではなく、改めて検証委員会の検証結果も踏まえて検討することが必須であるものと考えているとしている。
なお、同意見書を提出した21社とは、以下のとおり。
IDCフロンティア、アットアイ、EditNet、オーシャンブロードバンド、
沖縄セルラー電話、沖縄通信ネットワーク、関西ブロードバンド、
KDDI、Coltテクノロジーサービス、ZIP Telecom、ソフトバンク、
ソラコム、中部テレコミュニケーション、TAM、徳之島ビジョン、
有限会社ナインレイヤーズ、新潟通信サービス、ビッグローブ、
UQコミュニケーションズ、LINEモバイル、Wireless City Planning
(五十音順)