ウェザーニューズは、3月6〜7日、KDDI、国際航業とともに、三重県志摩市の国府白浜海岸において、南海トラフ地震における被害状況の把握を想定し、「KDDIスマートドローン」の管制システムを用いた、同時に複数ドローンの飛行管制を行う実証実験を実施した。

2022年度に政府が実現を目指す市街地など有人地帯の上空で目視外飛行を行えるレベル4運航においては、運送・警備など様々な用途でドローン運航を担う事業者が自社のドローンを管制するシステムが必要となる。

ウェザーニューズは、KDDIが推進する「KDDIスマートドローン」の管制システムとの情報連携および実証を担っているという。

同システムは、ドローンの運航事業者が保有する複数のドローンを同時に運航させる際に、管理者がドローン同士の衝突回避などの管制を行うためのシステム。

「KDDIスマートドローン」や他の制御システムで運航する全国のドローンおよび、ウェザーニューズが保有する全国のヘリコプターなどの有人機情報を集約することで、例えば事業者が配送や巡回警備などで複数のドローンを運航させている場合でも、各事業者間が連携し、互いのドローンを安全に運航させることができる。

東日本大震災の発生から10年が経過し、全国の消防本部や自治体での情報収集や意思決定の支援など、災害対応においてもドローンの導入が進んでいる。

しかし、災害発生の直後は、ヘリコプターなどの有人機が現場上空を飛び交うため、有人機とドローンや、ドローン同士の衝突リスクが特に高まるという。

そこで、今回は災害時における本システムの有用性を検証するため、国際航業が南海トラフ地震および津波による災害後の調査活動を想定したシナリオを策定し、「KDDIスマートドローン」の管制システムを用いて、実機によるドローンの運航及び調査活動を実施。

ウェザーニューズは、独自の小型動態監視システム「FOSTER-CoPilot」を搭載したヘリコプターの仮想の位置情報を共有し、管制システム上で一元管理し、実施した。

加えて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が保有する仮想ドローンや仮想ヘリの運航情報も連携し、仮想のヘリコプターとの衝突回避や安全運航の検証を実施したという。

今回の実証実験を通じて、ドローンの管制システムの技術、およびその運用の課題を洗い出し、改善・検証を通じて、災害時におけるドローンの完全自律飛行を可能にする環境整備に貢献していくとのことだ。

管制システムに接続されたドローンと高性能気象IoTセンサー「ソラテナ」
「KDDIスマートドローン」管制システムの画面

なお、実験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)からKDDIおよびパーソルプロセス&テクノロジーが受託した「無人航空機の運航管理システム及び衝突回避技術の開発/地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業」の一環で実施した。